全く同じ補償内容でも車種(型式)によって自動車保険の保険料が異なる場合があることをご存知でしょうか?
なぜ、同じ補償内容にも関わらず車種(型式)によって自動車保険料が異なることがあるのでしょうか。今回は、車によって自動車保険の保険料が異なる仕組みをご紹介します。
1.なぜ、車種(型式)によって自動車保険料が異なるのか?
車種(型式)によって自動車保険料が異なる理由は「型式別料率クラス」があるからです。
自家用普通乗用車と自家用小型乗用車は型式毎に料率クラスが設定されているので、補償内容等の試算条件が全く同じでも、車(型式)によって保険料が異なることがあります。
例えば、日産GT-R(型式:R35)と日産ノート(型式:NE12)では等級や補償内容が同じでも保険料は異なります。
一方、自家用軽四輪乗用車等は料率クラスがないので、補償内容が同じであれば、車(型式)による保険料の違いはありません。例えば、軽自動車のズズキのワゴンRとアルトでは、同じ補償内容であれば保険料も同じです(新車割引等の条件を除く)。
型式とは、道路運送車両法に基づき、国土交通大臣が構造、装置および性能が同一な自動車に対して指定する分類指標のことで、自動車検査証(車検証)に記載されています。同じ車種でも下記事例のようにタイプや年式によって型式は異なる場合があります。
例)ホンダ「フィット」の型式:GE6、GE7、GP5、GP6 等
2.型式別料率クラスとは?
では、「型式別料率クラス」とはどのようなものでしょうか?
前述の通り、「型式別料率クラス」は自家用普通乗用車、自家用小型乗用車について型式毎に設定された保険料率です。
自家用軽四輪乗用車、自家用軽四輪貨物車、自家用小型貨物車等には型式別料率クラスは設定されていません。また、バイク(二輪車)や原付(原動機付自転車)にも型式別料率クラスは設定されていませんので、車種によって保険料が変わることはありません。
クラスは保険種類(対人賠償保険、対物賠償保険、人身傷害補償保険・搭乗者傷害保険、車両保険)毎に定められていて、クラスは1~9の9段階です。型式別料率クラスは車種(型式)ごとの事故実績を反映しています。
最も事故実績が低い1クラスが最も保険料が安く、最も事故実績が高い9クラスが最も保険料が高くなります。
尚、「型式別料率クラス」は損害保険料率算出機構が決定したものを参考純率として各保険会社で利用しています。
軽自動車にも型式別料率クラスが導入される予定
上記の通り、2019年4月現在、型式別料率クラスが導入されているのは、自家用普通乗用車、自家用小型乗用車の2車種ですが、自家用軽四輪乗用車についても、2020年1月以降に型式別料率クラスが導入される予定です。
軽自動車の料率クラスは1~3の3段階です。最も事故実績が低い1クラスが最も保険料が安く、最も事故実績が高い3クラスが最も保険料が高くなります。
軽自動車についても型式ごとに自動車保険料が異なるようになります。
スポンサーリンク
3.料率クラスはどのように決まる?
「型式別料率クラス」は直近の事故発生状況を反映し、より適正かつ公平な保険料負担とするため、毎年1回、1月1日付けで損害保険料率算出機構にて見直しを行います。
事故の少ない型式は1クラス低いクラスへ、事故の多い型式は1クラス高いクラスへ変更します。従って、クラスが変更された型式の車の継続契約では、契約の事故の有無に関わらず、保険料が変更となります。
クラスが変更となる補償の種類や数により異なりますが、最大で約20%の保険料アップまたはダウンとなります。
事故等で自動車保険を使用していないのに翌年の保険料が上がることがありますが、その原因の1つに「型式別料率クラス」の見直しによる保険料UPの可能性があります。
『自動車保険が高くなった!?という場合に確認すべき4つのポイント』
(出典:損害保険料率算出機構)
4.料率クラスの例
ここで、料率クラスの例をご紹介したいと思います。
日産GT-R(型式:R35)
車両:7 対人:2 対物:1 傷害:4
日産ノート(型式:NE12)
車両:4 対人:4 対物:4 傷害:3
上記のように型式毎に料率クラスが決まっています。型式別料率クラスは、下記の損害保険料率算出機構HPより「メーカー・車名」で検索できます。
参照:型式別料率クラス検索(損害保険料率算出機構)
上記2車種を比較するとGT-Rの方が車両保険の保険金支払いが多いため、料率クラスが高くなっています。よって、車両保険の保険金額が同じであれば、GT-Rの方が保険料が高くなります。
高級車やスポーツカーは盗難によって車両保険の支払いが多くなったり、事故の際の修理費が高額になる傾向があるので、車両保険の料率クラスは高くなっています。
5.料率クラスの低い車を買えば自動車保険料の節約になる
特に買う車が決まっておらず、自動車保険料を安く抑えたい場合には、型式別料率クラスの低い車を買う方法があります。
料率クラスがどの程度保険料に影響するかのシミュレーションすると、下記の通りになります。
【自動車保険料例試算例】
自動車:自家用普通乗用車
使用目的:日常・レジャー使用
等級:14等級
事故有係数適用期間:0年
年齢条件:35歳以上補償
記名被保険者年齢:30~39歳
免許色:ブルー
対人賠償:無制限
対物賠償:無制限
人身傷害保険:3,000万円
車両保険(一般条件):100万円 免責0-10万円
料率クラス(車両5・対人5・対物5・傷害5)の場合
年間保険料:111,620円
料率クラス(車両9・対人5・対物5・傷害5)の場合
年間保険料:178,640円
車両料率クラスが「5」と「9」の車では、年間約6.7万円の保険料差が発生します。料率クラスの低い車を買うことにより、自動車保険料の節約が可能です。
『車両保険は必要?不要?保険料を安くする方法は?』
まとめ
自動車保険も自動車を所有する際に大きなコストになります。今後は、軽自動車にも型式別料率クラスが導入される予定なので、車を購入する際に料率クラスも参考にしてみてはいかがでしょうか?
最終更新日:2019年4月12日
No.51