保険のパンフレット等を見ていると“別居の未婚の子”という言葉を目にすることが多いと思います。“別居の未婚の子”という言葉を正しく理解されているでしょうか?
“別居の未婚の子”は色々な保険商品に出てきますが、特に自動車保険では補償のポイントになる言葉です。“別居の未婚の子”という言葉の意味を理解していないと、補償漏れや逆に補償の重複が発生する可能性があります。
今回な“別居の未婚の子”について解説します。今回の記事を読んで“別居の未婚の子”の意味(定義)を正しく理解していただき、補償漏れや補償の重複のない保険契約をするためにお役立て下さい。
1.未婚の意味(定義)とは?
“未婚”とは辞書では、「まだ結婚したことがないこと。結婚の経験がないこと」となっています。つまり、“別居の未婚の子”とは、婚姻歴の無い別居の子という意味になります。
“別居の未婚の子”というと、単に独身の別居の子供という解釈をしてしまいそうですが、実際には上記のような意味になります。
結婚していたが、離婚等をした独身の子供はこの未婚には該当しないので、注意が必要です。一般的に未婚を単に結婚していない人という意味で使っている場合もあるので、本当に紛らわしいですが・・・。
紛らわしくて勘違いされる可能性があるので、保険会社によっては、パンフレット等で未婚について解説していることもあります。
2.別居とは?
別居について住民票の内容を気にされる方がいますが、別居の定義は、“実態として生活の拠点がどこにあるか”です。住民票を変更せずに別居している場合でも“別居”と判断されます。また、同一生計、扶養関係なども“同居”と“別居”の判断材料にはなりません。
「生活の拠点」の確認方法としては、公共料金・クレジットカード・携帯電話の請求書等の送付先や生活用動産(家具等)の所在等で判断します。
3.どこに出てくる?
この“別居の未婚の子”という言葉は色々な保険で登場します。“別居の未婚の子”が出てくるいくつかの事例をご紹介します。
1)自動車保険
①年齢条件
年齢条件を決める際に別居の未婚の子がポイントになります。「別居の未婚の子が休みに帰ってきて車を運転するが、年齢条件を別居の未婚の子に合わせる必要があるのか?」というご質問を頂くことが多いのですが、別居の未婚の子に年齢条件を合わせる必要はありません。別居であれば未婚・既婚を問わず、子供に年齢条件を合わせる必要はありません。
尚、年齢条件設定の詳細については、下記記事をご参照ください。
『自動車保険の年齢条件設定方法とは?確認すべきべき4つのポイント』
②運転者限定特約
また、補償される運転者を限定する際にも「別居の未婚の子」がポイントになります。実は、運転者限定特約を「家族限定」にしても同居の家族だけでなく、別居の未婚の子までが補償の対象となります。
『別居の未婚の子と自動車保険』
③ファミリーバイク特約等
その他にもファミリーバイク特約は「別居の未婚の子」まで補償対象になる等、自動車保険では別居の子が未婚かどうかがポイントになる特約等が多いです。
『ファミリーバイク特約を検討する際に確認すべき9つのポイント』
④ノンフリート等級(割増引)の引継
尚、ノンフリート等級(割引)を子供に引き継ぐ場合には、同居が条件になります。つまり、別居の子供にノンフリート等級を引き継ぐことはできませんので、ご注意ください。
ノンフリート等級(割増引)を引き継げる範囲の詳細については、下記記事をご参照ください。
『自動車保険の等級(割引)を知人に譲ることができるか?』
2)傷害保険
家族傷害保険の補償範囲は同居だけではなく、生計を共にする別居の未婚の子も補償範囲に含まれます。具体的には、家族傷害保険の補償対象者の範囲は下記の通りです。
①被保険者本人
②被保険者本人の配偶者
③被保険者本人または配偶者と生計を共にする同居の親族
④被保険者本人または配偶者と生計を共にする別居の未婚
「親族」とは被保険者本人の6親等以内の血族および3親等以内の姻族をいいます。詳細は、下記記事をご参照ください。
『同居の親族とは?』
3)個人賠償責任保険(自転車保険)
自転車保険として注目されている個人賠償責任保険(特約)も補償範囲は同居だけでなく、生計を共にする別居の未婚の子が含まれています。
尚、自動車保険等に付加できる特約によっては「生計を共にする」という条件がありません。「生計を共にする」という条件が無ければ、社会人になり、実家を離れている別生計の未婚の子供も補償範囲に含まれます。
「生計を共にする」という条件があれば、社会人になり、別生計の子供は補償範囲に含まれませんが、大学生になり、家を離れてひとり暮らしをしている同一生計の未婚の子供等は補償範囲に含まれることになります。
※自転車保険とは、個人賠償責任保険と傷害保険がセットになった商品です。自転車保険の補償内容等の詳細については、下記記事をご参照ください。
『自転車保険に加入する前に確認すべき6つのポイント』
『個人賠償責任保険とは?』
『自転車保険はTSマークの補償で充分か?』
『個人賠償責任補償特約の比較まとめ』
4.重複契約にも注意
補償の範囲等にこの言葉がよく出てくるので、保険に加入する際は注意してご覧下さい。
言葉の意味を正しく理解していないと補償対象と思っていた人が補償対象ではないというようなことになるのが一番大変なことです。
しかし、逆に補償の対象ではないと思っていた人が実は補償の対象で、重複して契約をしていたという事例も多々あります。
例えば、自転車保険の補償(個人賠償責任部分)の対象者は「別居の未婚の子」も含まれるのですが、それに気づかず、別居の子供は別で自転車保険を契約するという事例があります(同居の子供でも親とは別で契約している事例があります)。
具体的には、大学生で別居している未婚の子は、親が自転車保険に加入していれば、個人賠償責任補償部分については補償対象になります。子供を別契約で自転車保険に加入させる必要はありません。当該事例の場合、補償(個人賠償責任補償部分)が重複し契約内容によっては、保険料が完全に無駄になる可能性があります。
補償の重複についての詳細は、下記記事をご参照ください。
『補償が重複しやすい4つのパターン』
まとめ
“別居の未婚の子”についてご理解頂けたでしょうか。“別居の未婚の子”は色々な保険や特約でポイントとなる用語です。“別居の未婚の子”の意味を正しく理解し、補償漏れとともに補償の重複にもご注意ください。
最終更新日:2017年9月20日
No.18