生命保険や医療保険などには、さまざまな特約(オプション)があり、保障を追加することが可能です。しかし、特約の種類が多いので、一般の方にとっては、その保障内容や必要性を理解することは簡単なことではないと思います。
今回は、特約にはどのような種類があり、その保障内容や必要性について解説します。生命保険や医療保険を検討する際、必要な特約か無駄な特約かを見極めるために参考にして頂ければと思います。
1.主契約と特約とは?
主契約とは、保険契約の基本となる保障部分です。一方、特約とは、主契約の保障を充実させるオプションの保障です。
主契約がメインの保障で、特約がオプションの保障となります。生命保険契約は主契約(メイン)と特約(オプション)の組み合わせで構成されています。
主契約としては、終身保険、定期保険、養老保険、医療保険などがあります。
特約としては、定期保険特約、三大疾病保障特約、女性疾病特約、先進医療特約、災害割増特約、傷害特約などの種類ががあります。
特約で保障を追加するメリットとしては、単品で契約するよりも特約として追加した場合の方が保険料が安い場合がある点や、契約を1つにまとめられて管理しやすいという点があります。
しかし、1つの契約にいろいろと特約をセットすると、保障内容が複雑になります。自分でどのような保障があるのかが理解できなくなる可能性もあり、保障内容の見直しの際に支障が出ることもあるので、注意が必要です。
『特約で保障を追加する場合のメリット・デメリット』
2.主な特約の種類と保障内容
生命保険や医療保険などに追加できる主な特約をご紹介します。
●災害割増特約
災害割増特約は、不慮の事故または所定の感染症で死亡した場合、主契約の死亡保険金に上乗せして災害死亡保険金が受け取れる特約です。
また、不慮の事故または所定の感染症で、高度障害状態になった場合、主契約の高度障害保険金に上乗せして災害高度障害保険金が受け取れます。
例えば、下記のような契約の場合、病気が原因で死亡した場合は定期保険から保険金500万円が支払われます。一方、事故で亡くなった場合、定期保険から500万円、災害割増特約から500万円が支払われ、合計で1,000万円の保険金を受け取ることができます。
●傷害特約
傷害特約は、不慮の事故または所定の感染症で死亡したとき、主契約の死亡保険金に上乗せして災害死亡保険金が受け取れる特約です。
また、不慮の事故で所定の障害状態になったと場合、障害の程度に応じて障害給付金が受け取れます。
例えば、下記のような契約の場合、病気が原因で死亡した場合は定期保険から保険金500万円が支払われます。一方、事故で亡くなった場合、定期保険から500万円、傷害特約から500万円が支払われ、合計で1,000万円の保険金を受け取ることができます。
●疾病入院特約
疾病入院特約は、病気で入院した場合、入院給付金が受け取れる特約です。
●災害入院特約
災害入院特約は、不慮の事故で入院した場合、入院給付金が受け取れる特約です。
●三大(特定)疾病特約
三大(特定)疾病特約は、がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態になった場合、生前に特定疾病保険金が支払われる特約です。
また、三大疾病にならなくても、保険期間中に被保険者が死亡した場合には「死亡保険金」が支払われ、被保険者が高度障害状態になった場合には、「高度障害保険金」が支払われます。
ただし、特定疾病保険金と死亡・高度障害保険金は重複して受け取れません。
●リビングニーズ特約
リビング・ニーズ特約とは、生命保険の特約の1つで、被保険者(保障の対象者)が余命6ヶ月以内と判断される場合、死亡保険金の全部または一部(3,000万円が上限)を生前に受け取れる特約です。
余命6ヶ月以内とは、日本で一般に認められた医療による治療を行っても余命が6ヶ月以内であることを意味します。余命6ヶ月以内の判断は医師が記入した診断書や請求書類にもとづいて保険会社が行います。病気の種類やケガを問いません。
●先進医療特約
先進医療特約とは、先進医療を受けた時に自己負担した金額を保障する特約です。がん保険や医療保険等の特約として付加できます。商品によっては、オプションではなく、基本保障として主契約に先進医療保障が組み込まれているものもあります。
『先進医療特約について勘違いが多いポイント』
●女性疾病入院特約
女性疾病特約とは、女性特有の病気の治療を目的として入院した場合に主契約の保障に加えて、入院給付金が上乗せして支払われる特約です。
●健康祝金特約
健康祝金とは、医療保険に加入していて数年経過すると支払われるものです。金額としては、数万円から10万円程度です。商品によっては、「ボーナス」、「生存還付金」等と呼ばれています。支払の条件は、医療保険を数年から10年程度契約していることや給付金の請求が無かったことなどの条件がある場合があります。
●保険料払込免除特約
保険料払込免除特約は、被保険者が三大疾病等で一定の状態になった場合に生命保険や医療保険の保険料の払い込みを不要とし、保障は継続される特約です。
3.おすすめの特約
ここからは、上記特約の中からおすすめの特約をご紹介します。
●三大(特定)疾病特約
三大疾病保障特約は、治療が長期化する傾向があるがん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態になった場合、生前に一時金を非課税で受け取れる特約です。一時金で大きな金額を受け取れる点にメリットがあります。
ただし、所定の状態は、保険会社ごとに異なる場合があります。特に急性心筋梗塞や脳卒中については、保険金支払条件が「入院」や「手術」、「60日以上の就業不能状態」などと保険会社によって異なる場合があり、特約セット時には注意が必要です。
『三大疾病保障保険の保険金支払要件が異なる商品』
●リビングニーズ特約
リビング・ニーズ特約の特約保険料は無料です。途中で付加(セット)することも可能なので、リビング・ニーズ特約をセットされていない場合には、セットされることをおすすめします。
リビング・ニーズ特約も生前に大きな金額の保険金を非課税で受け取れる特約で、治療費などに活用できます。ただし、リビング・ニーズ特約を利用する際には、使い残した保険金は相続財産となり相続税の課税対象になる可能性があるなどのご注意頂きたい点もあります。
『リビング・ニーズ特約について押さえておくべき7つのポイント』
●先進医療特約
先進医療特約の支払限度額は、1,000万円や2,000万円ですが、保険料は1ヶ月100円程度で追加できます。給付を受ける可能性は低いかもしれませんが、保険料も安く、病気などの際には治療の選択肢も広げてくれますので、おすすめの特約です
なお、主契約の保険期間が終身のがん保険や医療保険にご加入であっても先進医療の特約は保険期間10年の更新型としている商品があることをご存知でしょうか?
先進医療特約の保険期間が10年の更新型の場合、10年毎に更新があり、保険料が上がる可能性があります。先進医療特約の保険期間は、特約セット時に確認する必要があります。
『先進医療特約は終身?10年更新?』
また、先進医療の保障は、医療保険やがん保険の特約としてセットするのが一般的ですが、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命には臓器移植や先進医療に特化した商品「Linkx coins(リンククロスコインズ)」(正式名称:臓器移植医療給付金付先進医療保険)があります。
先進医療特約をセットしたいがために医療保険に加入したいという方がいます。医療保険に加入すると、最低でも月額数千円の保険料が必要ですが、「Linkx coins(リンククロスコインズ)」であれば、月500円で先進医療の保障が準備できます。
『月500円の先進医療保険!?』
4.おすすめできない特約
さて、ここからはおすすめしない特約をご紹介します。
●女性疾病入院特約
女性疾病特約とは、女性特有の病気の治療を目的として入院した場合に主契約の保障に加えて、入院給付金が上乗せして支払われる特約です。
女性疾病特約を付帯(セット)していないと女性特有の病気が保障されないと勘違いしている方もいらっしゃいますが、そうではありません。そもそも主契約で女性特有の病気による入院も保障されます。
女性特約の病気の治療費が特に高額であるわけでもないので、あまり必要性が高い特約ではありません。
『医療保険に女性疾病特約は必要か?』
●健康祝金特約
医療保険にセットできる健康祝金特約は、商品によっては「ボーナス」、「生存還付金」等と呼ばれています。ネーミングだけ聞くと、まるで保険会社から健康で契約を継続されている方にプレゼントされるお祝いのようなイメージがあります。
しかし、勘違いされている方も多いと思いますが、「健康祝金」や「ボーナス」などは保険会社が無料でサービス(プレゼント)してくれるものではありません。
実は、「健康祝い金」として受け取る金額は、保障の部分とは別に契約者が支払っている保険料の中に含まれています。つまり、「健康祝い金」や「ボーナス」として受け取る現金は契約者が自ら支払っているものが返ってきているだけということになります。
主契約を途中解約した場合には、健康祝い金特約の保険料部分が全くのムダになってしまうなどのリスクもありますので、医療保険に加入するのであれば、保険料の安い掛け捨ての商品を選択する方がベターです。医療保険に関しては貯蓄性は求めず、貯蓄は貯蓄、保障は保障と考えることをおすすめします。
『健康祝い金のある医療保険はお得?』
まとめ
特約はいろいろな保障が追加でき便利な側面もありますが、1つの契約に沢山の特約をセットすると、その後の保障見直しの際に支障が出ることがあります。
契約はなるべくシンプルに1つの契約に数個程度の特約にとどめることをおすすめします。
なお、見直しの相談を受けると、必要性の低い特約が沢山セットされた保険に加入している方がいます。契約者や被保険者のためではなく、営業担当の成績を上げるために特約を付けたのではないかと疑いたくなるような契約も散見されます。
沢山の特約がセットされた契約を提案された場合には、本当にその特約が必要なのかを吟味することをおすすめします。
ご自身で判断が難しい場合には、FP(ファイナンシャル・プランナー)に無料で相談する方法もあります。
『生命保険無料相談(見直し・新規加入)』
No.318