「年齢が30歳を超えたが、自動車保険の年齢条件が『26歳以上補償』になっている。『30歳以上補償』に変更できないのか?」とのご質問を頂くことがあります。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、以前の自動車保険の改定で年齢条件の『30歳以上補償』が廃止になった保険会社があります。
今回は保険会社によって異なる年齢条件の設定区分と自動車保険料の関係について解説します。
1.自動車保険の年齢条件とは?
自動車保険の年齢条件(運転者年齢条件特約(保険会社によって名称は異なる))とは、補償の対象となる運転者の年齢を限定する特約です。補償の対象となる運転者の年齢を制限することで保険料が安くなります。
運転者年齢条件には、「年齢問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「30歳以上補償」「35歳以上補償」があります。保険料は、「年齢問わず補償」が一番高くなり、設定する年齢条件が高くなるほど保険料は安くなります。
なお、年齢条件は下記の方に適用されます。
(1)記名被保険者
(2)記名被保険者の配偶者
(3)記名被保険者または記名被保険者の配偶者の同居の親族
(4)上記いずれかの方の業務に従事中の使用人※
※イーデザイン損保(平成23年4月1日以降始期日契約の場合)、アクサダイレクト(平成28年3月1日以降始期日契約の場合)、ソニー損保等は、上記(4)の方については、年齢条件は適用されません。つまり、契約の車を運転される下記の方の中で一番若い方に合わせて年齢条件を設定します。
①記名被保険者
②記名被保険者の配偶者
③記名被保険者又は記名被保険者の配偶者の同居の親族
保険会社によって年齢条件が適用される方の範囲が異なる場合がありますので、ご注意ください。
上記の方の中で運転される可能性のある一番若い方に年齢条件を合わせる必要があります。逆に上記以外の方に年齢条件を合わせる必要がない点には注意が必要です。
例えば、自分の車を運転する友人や知人、また、別居している子供などに年齢条件を合わせる必要はありません。年齢条件が適用される方以外に年齢条件を合わせると、ムダに高い保険料を支払うことになる可能性があります。
年齢条件を設定する際に注意すべきポイントについては、下記記事をご参照ください。
『自動車保険の年齢条件設定方法とは?確認すべきべき4つのポイント』
2.自動車保険の改定により「30歳以上補償」は廃止になった?
冒頭でも少し触れましたが、以前の自動車保険の改定で下表の通り、「26歳以上補償」と「30歳以上補償」を統合し、「26歳以上補償」としている保険会社があります。
つまり、「30歳以上補償」は廃止され、設定できない保険会社があります。
商品によっては、「30歳以上補償」と「26歳以上補償」を統合することにより、「26歳以上補償」が最上の年齢条件になる場合があります。
改定前 | 改定後 | |
---|---|---|
年齢問わず補償 | ⇒ | 年齢問わず補償 |
21歳以上補償 | ⇒ | 21歳以上補償 |
26歳以上補償 | ⇒ (統合) |
26歳以上補償 |
30歳以上補償 |
上記の場合、例えば、40歳以上の方しか車を運転していないのに年齢条件は「26歳以上補償」となるわけです。
「35歳以上補償」という年齢条件がある商品もあるので、そのような場合は、「35歳以上補償」が選択できます。
改定前 | 改定後 | |
---|---|---|
年齢問わず補償 | ⇒ | 年齢問わず補償 |
21歳以上補償 | ⇒ | 21歳以上補償 |
26歳以上補償 | ⇒ (統合) |
26歳以上補償 |
30歳以上補償 | ||
35歳以上補償 | ⇒ | 35歳以上補償 |
大手4社の東京海上日動、三井住友海上、損害保険ジャパン日本興亜、あいおいニッセイ同和損保は上記のような自動車保険改定を行なっています。
3.保険会社によって設定できる年齢条件は異なる
自動車保険の年齢条件の区分は保険会社や商品によって一様ではなく、異なる場合があります。主な損保会社の年齢条件の設定区分は下記の通りです。
保険会社名 | 年齢条件区分 | |
---|---|---|
SBI損保 | 3区分 | 年齢を問わず補償 21歳以上補償 26歳以上補償 |
アクサダイレクト | 4区分 | 年齢を問わず補償 21歳以上補償 26歳以上補償 30歳以上補償 |
チューリッヒ | 4区分 | 全年齢補償 21歳以上補償 26歳以上補償 30歳以上補償 |
ソニー損保 | 4区分 | 年齢を問わず補償 21歳以上補償 26歳以上補償 30歳以上補償 |
東京海上日動 「トータルアシスト」 |
4区分 | 年齢を問わず補償 21歳以上補償 26歳以上補償 35歳以上補償 |
損保ジャパン日本興亜 「THEクルマの保険」 |
4区分 | 年齢を問わず補償 21歳以上補償 26歳以上補償 35歳以上補償 |
大手損保は4区分で「35歳以上補償」が一番上の区分になっています。ただし、法人等が契約する損保ジャパン日本興亜の「SGP」や東京海上日動の「TAP」等は年齢条件が、『全年齢』、『21歳以上』、『26歳以上』の3区分になっています。
通販型(ダイレクト型)自動車保険は30歳以上補償が一番上の区分で4区分となっている会社が多いですが、SBI損保は3区分で「26歳以上補償」が一番上の区分になります。
なお、年齢条件の設定が「26歳以上補償」までしかない保険会社と「35歳以上補償」が設定できる保険会社では、「35歳以上補償」が設定できる保険会社の保険料の方が安くなりそうですが、必ずしもそういうわけではないので、実際に複数社の保険料を比較してみることが重要です。
4.年齢条件がない自動車保険がある?
セゾン自動車火災保険は、記名被保険者(主に自動車を使用する方)の保険始期日時点での年齢で保険料が決定する、一歳刻みの保険料体系を採用しています。セゾン自動車火災保険のおとなの自動車保険には、「●●才以上補償」という年齢条件はありません。
上記の通り、他社の自動車保険の運転者年齢条件は、「35歳以上補償」が一番上の区分で、それ以降の年齢の区分はありません。しかし、おとなの自動車保険は、年齢条件を1歳刻みにして、35歳以降も事故率に比例した保険料が設定されています。
1歳刻みの年齢条件のため、同社がウリにしている最も事故率が低い40~50歳代の「おとな世代」の保険料水準を最も低くしています。
「おとなの自動車保険」の保険料が一歳刻みでどの程度、差があるのかを実際に試算をしてみました。
【試算条件】
商品:おとなの自動車保険
免許色:ブルー
自動車:フィット(GP5)
料率クラス:対人(5) 対物(4) 傷害(4) 車両(4)
使用目的:日常・レジャー
主な使用地:東京都
対人賠償保険:無制限
対物賠償保険:無制限
人身傷害保険:3,000万円(車内のみ補償)
車両保険(一般条件):100万円 免責0-10万円
年間走行距離:5,000~1万㎞
等級:14等級
事故有等級適用期間:0年
記名被保険者年齢 | 年間保険料 |
---|---|
21歳 | 155,380円 |
26歳 | 84,320円 |
30歳 | 61,870円 |
35歳 | 56,440円 |
36歳 | 56,150円 |
40歳 | 54,420円 |
41歳 | 54,570円 |
44歳 | 55,450円 |
45歳 | 56,060円 |
50歳 | 56,620円 |
51歳 | 56,860円 |
54歳 | 56,100円 |
55歳 | 56,410円 |
60歳 | 62,020円 |
61歳 | 62,730円 |
70歳 | 73,300円 |
71歳 | 75,260円 |
75歳 | 84,140円 |
80歳 | 98,720円 |
89歳 | 123,380円 |
ご覧になって頂ければわかる通り、30歳以降も保険料は下がり、今回の試算条件では40歳で一番保険料が安くなりました。その後は保険料は上昇に転じていきます。
以前に自動車保険料を試算した際には、71歳以降は一律の保険料となっていましたが、現在は71歳以降も保険料が上がり続けていきます。
まとめ
自動車保険の改定により、年齢条件の「30歳以上補償」が廃止になった保険会社があります。また、保険会社によって設定できる年齢条件の区分は上記の通り異なります。
年齢条件の設定区分が「26歳以上補償」までしかない保険会社と、「35歳以上補償」が設定できる保険会社の自動車保険料を比較すると、年齢条件の設定区分が「26歳以上補償」までしかない保険会社の方が安い場合があります。
よって、年齢条件の設定区分だけで判断せず、自動車保険料の比較を一括見積もり(無料)サイトを利用して比較してみてください。
最終更新日:2019年2月17日
No.84