自動車保険の等級(割引)制度についてよく頂くご質問がいくつかあります。
何度もご質問を頂くということは、多くの方が同様に疑問に思われているとことだと思います。今回は、等級制度についてよくいただく下記6つの質問や疑問について解説します。
- 等級を友人や知人に引き継げるか?
- 保険会社を切り替え(乗り換え)た場合、等級を引き継げるのか?
- ロードサービスの使用で等級は下がる?
- 等級の下がらない事故があるのか?
- 「等級据え置き事故」はなくなった?
- 当て逃げされても3等級ダウン?
自動車保険の等級制度を理解し、保険金請求時等に参考にして頂ければと思います。
1.ノンフリート等級別料率制度とは?
まずは、簡単に自動車保険の等級制度についてご説明します。一般の方は自動車保険の割引として認識されていると思います。
契約台数が9台以下の自動車保険はノンフリート契約(10台以上はフリート契約)と呼ばれています。多くの個人の方が契約されている自動車保険はノンフリート契約です。
ノンフリート契約では、「1~20等級の区分」、「無事故・事故有の区分」により保険料が割増引きされるノンフリート等級別料率制度が採用されています。
等級制度の詳細については、下記記事をご参照ください。
『自動車保険等級制度(ノンフリート等級別料率制度)』
2.等級を友人や知人に引き継げるか?
「自動車保険の等級を友人や知人に引き継げるか?」という質問を頂くことがあります。
実は、誰にでも等級を引き継げるわけではなく、引継げる方の範囲が決まっています。等級が引き継げる人の範囲は下記の通りです。
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者の同居の親族
- 配偶者の同居の親族
※配偶者は内縁関係でも可です。また、同性パートナーにも等級が引き継げる保険会社もあります。
『同性パートナーと保険』
よって、全くの他人である友人や知人等に等級を引き継ぐことは残念ながらできません。
下記記事で、等級を引き継げる方の範囲などについて詳細に解説していますので、ご参照ください。
『自動車保険の等級(割引)を知人に譲ることができるか?』
3.保険会社を切り替え(乗り換え)た場合、等級を引き継げるのか?
自動車保険の満期更改時に自動車保険を契約している保険会社を乗り換え(切り替える)場合があると思いますが、そのような場合に保険会社間で等級は引き継げるのでしょうか?
ご存知の方が多いと思いますが、保険会社(通販会社を含む)を変えても自動車保険の等級(割引)は引き継げます。
例えば、損保ジャパン日本興亜の自動車保険(16等級)に加入していて、1年間無事故で、満期時に三井住友海上の自動車保険に契約を移して加入する場合、17等級で加入することが可能です。
損保ジャパン日本興亜等の代理店型大手損保会社からソニー損保等の通販会社に契約を移行する場合も同様に等級の引継ぎが可能です。
また、JA共済や全労済など、一部の共済と保険会社間でノンフリート等級の引継が可能な場合もあります。
保険会社間の等級引き継ぎについては、下記記事で詳細に解説していますので、ご参照ください。
『保険会社を変更(乗り換え)した場合、自動車保険の等級(割引)は引き継げる?』
4.ロードサービスの使用で等級は下がる?
「ロードサービスの使用で等級は下がるのか?」というご質問もよく頂きます。
ロードサービスのみの使用であれば、等級に影響はありません。ロードサービスのみの使用であれば、次回更新時には、無事故として等級が1つ上がります。
ただし、ロードサービスと同時に車両保険等の等級に影響がある補償を使用すれば、当然、等級に影響が出ますので、ご注意ください。
5.等級の下がらない事故があるのか?
「等級の下がらない事故があるのか?」というご質問もよく頂きます。ロードサービスの使用とも関連するのですが、自動車保険の保険金を受け取る場合の全てで等級が下がると思われている方がいますが、実は等級の下がらない事故も存在します。
等級の下がらない事故は、「ノーカウント事故」と呼ばれていて、具体的には下記の保険事故または下記の組み合わせの事故をいいます。
- 対人臨時費用
- 人身傷害保険
- 傷害一時金保険
- 弁護士費用特約
- ファミリーバイク特約
- 個人賠償責任補償特約 etc
上記のような補償や特約のみの使用であれば、保険金を受け取っても等級に影響はなく、契約の更新時に事故は無かったものとして等級が1つ上がります。
ちなみに、保険事故には下記の通り、「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の3種類があります。
上記の通り、人身傷害保険や弁護士費用特約などのみが支払われる事故がノーカウント事故です。次契約の等級に影響はなく、その他の事故がなければ、1つ等級が上がります。
●1等級ダウン事故
火災や盗難、飛び石による損害などにより車両保険金のみ支払われる事故が1等級ダウン事故です。次契約の等級が1つ下がります。次契約の等級が7等級以上の場合は、事故有の割増引率が1年間適用されます。
●3等級ダウン事故
上記2つの事故以外の事故で、対人賠償責任保険金や対物賠償責任保険金などの支払いがある事故が3等級ダウン事故です。次契約の等級が3つ下がります。次契約の等級が7等級以上の場合は、事故有の割増引きが3年間適用されます。
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6.「等級据え置き事故」はなくなった?
「飛び石でフロントガラスが割れた場合、車両保険で修理しても等級据え置き事故か?」というご質問も多く頂きます。
以前は、飛び石の事故で車両保険を使用しても「等級据え置き事故」として、契約の更新時に等級が上がりも下がりもしない事故でしたが、現在は上記の通り「1等級ダウン事故」として1等級下がります。次契約の等級が7等級以上の場合は、1年間事故有の割増引率が適用されます。
『等級据え置き事故はなくなった!?』
以前は「等級据え置き事故」であった車両保険金が支払われる下記事故が現在は1等級ダウン事故となっていますので、ご注意ください。
1等級ダウン事故の例)
〇盗難
〇火災・爆発
〇台風・洪水・高潮
〇落書き
〇飛び石
7.当て逃げされても3等級ダウン?
「当て逃げされて車両保険で車を修理した場合、等級は下がらないのか?」との質問もよく頂きます。
当て逃げ事故の場合、自分には一切の過失(責任)はないため、等級が下がらないのではないかというお気持ちもよく分かります。しかし、当て逃げで車両保険を使用した場合も残念ながら3等級ダウンとなってしまいます。次契約が7等級以上の場合には、3年間事故有の割増引率が適用されます。
なぜ当て逃げで車両保険を使用すると「3等級ダウン事故」になるのかという点については、下記記事で解説していますので、ご参照ください。
『当て逃げされても3等級ダウン!?』
まとめ
『自動車保険等級制度(ノンフリート等級別料率制度)』でも解説していますが、現在の等級制度は、事故で保険を使用すると、等級が下がるだけでなく、事故有りの割増引率も適用され、大きく保険料が上がる可能性があります。
その一方、等級に影響のないノーカウント事故もありますので、等級制度を理解して頂き、自動車保険を上手に活用して頂ければと思います。
最終更新日:2018年10月6日
No.237