ご加入の医療保険(入院保険)の保障内容を理解されているでしょうか?
医療保険への加入を検討している、又は医療保険の見直しを検討されている方から入院給付金についてよく頂く質問がいくつかあります。
今回は、医療保険(入院保険)に加入する際や見直しの際に理解しておくべき下記ポイントについて解説します。
- 1回の入院で何日まで入院給付金は受け取れるのか?
- 入院何日目から入院給付金は受け取れる?
- 入院給付金の日額とは?
- 検査入院や日帰り入院でも入院給付金は受け取れる?
- 入院給付金を受け取ると税金がかかる?
- 入院給付金と医療費控除の関係とは?
医療保険(入院保険)への加入や、見直しを考えている方は参考にしていただければと思います。
1.医療保険(入院保険)の入院給付金とは?
入院給付金とは、病気やケガの治療を目的として入院した際に受け取れる給付金です。
ケガが原因で入院した場合には「災害入院給付金」が支払われ、病気が原因で入院し場合には「疾病入院給付金」が支払われます。但し、「災害入院給付金」と「疾病入院給付金」との支払事由が重複して発生しても重複支払いはありません。
給付金は1日5,000円や1万円という定額での支払いになります。医療費の実費が支払われるわけではありません。
以前は入院5日目から保障などの医療保険がありましたが、現在は日帰り入院(入院日と退院日が同一の入院)も保障される商品が主流です。
また、入院日数5日未満の場合、一律、入院給付金日額の5日分が支払われる医療保険や、特則を付加すると入院日数10日未満の場合、一律、入院給付金日額の10日分が支払われる医療保険もあります。
例えば、入院給付金が1日5,000円で、2日間入院した場合には、5,000円×5で2.5万円支払われることになります。入院日数5日以上の場合には、入院給付金日額の入院日数分が支払われます。
2.入院何日目から入院給付金は受け取れる?免責期間とは?
入院給付金は入院して何日目から受け取れるのでしょうか?医療保険の入院給付金には、主に下記のようなタイプがあります。
- 日帰り入院から保障
- 1泊2日の入院から保障
- 5日以上の入院の場合は5日目から保障
- 5日以上の入院の場合は1日目から保障
最近の医療保険は「日帰り入院から保障」という商品が一般的になり、5日以内の入院でも5日分の入院給付金を支払うというような商品も販売されています。
しかし、以前の医療保険では、「入院から4日間は免責期間があり、5日目から保障」という保障されない免責期間がある商品が一般的でした。
ご存知の通り、入院治療の日数は年々短縮化され、保障されない免責期間の長い医療保険では給付金を受け取れる可能性が低くなってしまいます。
以前から医療保険に加入しているというような場合には、入院給付金の免責期間の有無を確認し、入院何日目から保障されるかをご確認ください。
3.日帰り入院とは?通院との違いは?
さて、「日帰り入院」という言葉が出ましたが、「通院」と「日帰り入院」は何が違うのかというご質問も多く頂きます。簡単に「通院」と「日帰り入院」の違いを解説したいと思います。
1)通院とは?
「通院」とは、医師による治療が必要なため、入院せずに外来や往診によって治療を受けることをいいます。
2)日帰り入院とは?
一方、「日帰り入院」とは、治療のために入院し、入院日と退院日が同一の入院基本料などの支払いが必要となる入院をいいます。
保険会社は、入院証明書に「入院」の記載があることや、病院が発行した領収証に「入院点数」の記載がることで日帰り入院と判断します。
今までは数日の入院が必要だった手術が、医療技術の進歩によって1日の入院(日帰り入院)で可能となった手術も増えています。日帰り入院可能な疾病は、鼠径ヘルニア、白内障や大腸ポリープ・胃ポリープ除去等です。
通院保障がある医療保険の場合、日帰り入院前後の通院も通院給付金の支払対象になる商品もあります。日帰り入院をされた際には、通院給付金の請求漏れにもご注意ください。
日帰り手術を受けた場合で入院給付金の保障対象になるか分からない場合には、ご自分で保障対象かどうかの判断をせず、保険会社や代理店にお問い合わせください。
日帰り手術を受けて、手術給付金の請求を保険会社にした場合、入院給付金の支払い条件も満たしていれば、入院給付金の請求についても保険会社から案内があると思います。
4.1回の入院で何日分の入院給付金が受け取れるか?
1回の入院に対して何日分の入院給付金を受け取れるかを入院給付金支払限度日数といいます。
1回の入院あたりの入院給付金支払限度日数は、60日型、120日型などがあります。長期だと730日型などがあります。
支払限度日数が60日型の契約の場合、1回の入院で継続して70日間入院した場合でも、給付金が支払われるのは60日間分が限度ということになります。
三大疾病(がん、心筋梗塞、脳血管疾患)の治療が目的の入院は給付日数が無制限という医療保険もありますし、特約で三大疾病の治療が目的の入院は給付日数を無制限とすることができる医療保険もあります。
5.保険期間内での入院給付金の通算支払限度日数
医療保険(入院保険)には、上記のように1回の入院あたりに支払われる入院給付金の限度日数と、保険期間内での通算の支払限度日数があります。
多くの医療保険が通算の入院給付金の支払限度日数を病気・ケガそれぞれで1,000日や1,095日としています。つまり、通算の支払限度日数が1,000日の場合、「災害入院給付金」で1,000日分、「疾病入院給付金」で1,000日分まで支払われることになります。
また、1回の入院あたりの支払限度日数と同じように三大疾病(がん、心筋梗塞、脳血管疾患)が原因の入院は通算の支払限度日数も無制限という医療保険もあります。
6.1回の入院(1入院)の定義とは?
さて、医療保険の入院給付金でご注意頂きたいのが1回の入院(1入院)の考え方です。入院して退院後、180日以内に再入院した場合、その入院は1回の入院(1入院)とみなされます。
例えば、60日型の医療保険に加入していて、初めに40日間入院し、退院。その後、180日以内に原因が同一または医学上重要な関係がある入院を30日間した場合には、入院期間は通算され、70日間の入院となります。よって、入院給付金が支払われるのは、60日分までとなります(商品によっては、複数回入院した場合、入院の原因を問わず、「災害入院給付金」、「疾病入院給付金」毎に入院期間が通算されます)。
①2つの入院が1入院とみなされる場合(入院給付金が60日型の場合)
上図の場合、入院期間は70日間(40日間+30日間)ですが、2つの入院が1入院とみなされ入院期間が通算されるため、入院給付金として支払われるのは、60日型の1入院の支払限度日数である入院給付金日額の60日分となります。
②2つの入院が1入院とみなされない場合(入院給付金が60日型の場合)
上図の場合は、それぞれの入院が別の入院とみなされ入院期間が通算されないため、支払われる入院給付金は1回目の入院40日分と、2回目の入院30日分となります。合計では、入院給付金日額の70日分が支払われます。
5日未満の入院の場合は、一律で入院給付金日額×5日分を支払う医療保険の場合も上記と同様の考え方で給付金を支払います。
つまり、2日入院して退院し、その後180日以内に2日入院した場合、入院給付金日額×5が2回支払われるのではなく、通算4日間の入院とみなされ、入院給付金日額×5日分が支払われます。
7.入院給付金の日額とは?
入院給付金は1日あたりいくら受け取れるのかを入院給付金日額といいます。
入院給付金は、日額3,000円~日額20,000円までなどと設定できます。保険会社によって設定できる日額が異なる場合があります。
なお、入院給付金の日額を上げるほど、医療保険の保険料は高くなります。
8.検査入院でも入院給付金は受け取れる?
入院給付金の請求時に多いのが「検査入院は入院給付金の支払対象になるのか?」という質問です。
実は、治療処置を伴わない定期健康診断や人間ドックなどの検査を目的とする入院については入院給付金の支払対象にはなりません。医療保険の入院給付金は、「治療を目的とした入院」を支払対象としているので、上記のような検査のみを目的とした入院については、支払対象となりません。
ただし、病気が疑われる場合の検査入院で、検査の結果、治療が必要であることが判明した場合は、その検査入院は治療を目的とした入院とみなして入院給付金の支払対象となる場合があります。
9.入院給付金を受け取ると税金がかかる
入院給付金を被保険者(保障の対象者)が受け取っても税金がかかることはありません。また、被保険者のご家族が入院給付金を受け取っても、原則、税金がかかることはありません。
医療保険やがん保険などの給付金(診断給付金、入院給付金、通院給付金、手術給付金など)に税金は課税されません。「身体の傷害に基因して支払いを受けるもの」には所得税法上非課税(所得税法施行令第30条第1号)とされています。
『税金が非課税(課税されない)の保険金・給付金』
ただし、被保険者(保障の対象者)の死後に家族が給付金を受け取ると、相続税が課税されます。給付金に税金が課税される場合、されない場合の詳細については、下記記事をご参照ください。
『医療保険やがん保険の受取人と税金の関係は?』
10.入院給付金と医療費控除の関係とは?
確定申告で医療費控除を受ける場合は、「負担した医療費」から「受け取った入院給付金」は差し引かなければなりません。
医療費から受け取った入院給付金を差し引く場合、給付の原因となった傷病などの医療費から差し引きます。引ききれない場合でも、他の医療費から差し引く必要はありません。
例えば、ある年にAという病気で5万円、Bという病気で20万円の医療費がかかったとします。Aという病気で入院したため、入院給付金を10万円受け取りました。
上記の場合、入院給付金は、Aという病気が原因で受け取っているので、医療費の5万円から入院給付金の10万円を差し引きます。この場合、引ききれない5万円がありますが、Bという病気の医療費20万円から差し引く必要はありません。
よって、医療費控除の対象となる額を計算する際の医療費は、下記の通りになります。
医療費:(5万円 - 10万円) + 20万円 = 20万円
医療費控除とは、本人や家族のために支払った医療費等の実質負担額が、年間(1~12月)10万円(所得金額が200万円未満の人は「所得金額×5%」の額)を超えた場合、その超えた金額をその年の所得から差し引くことができる所得控除の1つです。控除できる金額の上限は200万円です。
所得から医療費を控除することよって、課税対象となる所得が減るので、所得税・住民税の負担が軽減され、節税になります。
なお、年末調整では医療費控除を受けることができません。医療費控除を受ける場合は確定申告をする必要があります。
まとめ
医療保険(入院保険)の入院給付金についてついてご理解いただけたでしょうか?
今回の記事の内容を参考に医療保険(入院保険)への加入や見直しを行っていただければと思います。
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最終更新日:2018年12月3日
No.203