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地震保険の補償内容や損害区分など勘違いが多いポイント

地震保険は納得のいく保険金が支払われないというイメージを持っている方が多いようです。なぜ、そのようなイメージがあるのでしょうか?

地震保険は火災保険などとは違い、「地震保険に関する法律」に基づき、政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の高い保険であり、保険金支払方法等に特殊な部分があるので、補償内容等を勘違いされている方が多いと思います。

今回は、地震保険の補償内容や損害区分、保険金支払区分など、勘違いが多いポイントについて解説します。地震保険の補償内容等を理解し、地震保険への加入をご検討頂ければと思います。

1.地震保険金額の上限は火災保険の半分(50%)まで

地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットでの契約となり、地震保険の保険金額(補償額)は火災保険の50%まで、かつ、建物で5,000万円、家財で1,000万円までと上限が決まっています。

火災保険は、新価ベースの再調達価格での契約が主流になっていますので、仮に全焼となれば、同等の建物、家財を購入できる保険金が受け取れます。しかし、地震保険の場合は、全損となっても火災保険の半分までしか補償がありません。

意外と地震保険は火災保険金額の半分までしか加入できないということをご存知ない方がいらっしゃいます。

地震保険は地震等による被災者の生活の安定に寄与することが目的で、建物などの再建が目的ではないので、地震保険の補償額は、火災保険の50%までとなっています。

※新価(再調達価額)とは?

新価(再調達価額)とは、保険の対象(建物や家財)と同一の構造、質、用途、規模、型、能力のものを再築または再取得するのに必要な金額をいいます。

火災保険の補償内容等の詳細については、下記記事をご参照ください。
火災保険を契約する際に抑えておくべき8つのポイント

なお、地震保険に補償を上乗せする「地震危険等上乗せ補償特約」を取り扱っている保険会社があります。「地震危険等上乗せ補償特約」をセットすれば、地震や噴火またはこれらによる津波を原因とする損害に対する補償を地震保険と合わせて100%にすることができます。

また、火災保険に加入していなくても契約できる地震補償保険を販売している少額短期保険業者もあります。地震補償保険を活用すれば、地震保険と合わせて地震や噴火またはこれらによる津波を原因とする損害に対する補償を100%にすることができます。
単独で加入できる地震補償保険リスタ|地震保険との違いとは?

 

 

 

2.地震保険の損害区分は4区分

地震保険の損害区分は4区分しかありません。火災保険は実際の損害額を確認しますが、地震保険の場合は、被害が広範に及ぶので、可能な限り早く保険金を支払えるように損害区分を簡素化しています(損害区分の認定は、「地震保険損害認定基準」に従います)。

そのため、損害認定が主要構造部(基礎・柱・壁・屋根等)の損害の程度に応じて下記4区分しかありません。

地震保険の認定区分

〇全損
大半損
小半損
〇一部損

2017年1月の地震保険改定で損害認定の区分が細分化されました。具体的には、「半損」を2つに分割し、「大半損」と「小半損」に細分化されました。改定前は、以下のような損害認定区分でした。

〇全損
〇半損
〇一部損

地震保険も火災保険と同じように実際の損害額が補償されると勘違いされている方が多いのですが、実際には上記4区分(2016年12月までは3区分)の認定になります。

※2017年1月の地震保険改定では、損害区分の細分化の他に、保険料の改定や割引確認資料の拡大が実施されました。

 

 

 

3.地震保険金の支払いも4区分

地震保険も火災保険と同様に実際に地震で生じた損害額が補償されると思われるている方がいますが、地震保険では実際の損害額が補償されるわけではありません。

上記の通り、地震保険の損害の認定区分は4区分しかなく、保険金の支払いについても以下の通り4区分しかありません。

損害区分 支払保険金
全損 保険金額の100%(時価が限度)
大半損 保険金額の60%(時価が限度)
小半損 保険金額の30%(時価が限度)
一部損 保険金額の5%(時価が限度)

火災保険とは違い、地震保険は地震・噴火・津波による実際の損害額が支払われるわけではありません。

実際の損害とは関係なく、上記4区分での保険金支払いについては、不満な方も多いと思います。どの損害区分で認定されるかで保険金に差が発生し、実際の損害額が補償されない点は、被災された方からすると不満の残る部分でしょう。

2017年1月の地震保険改定によって損害の認定区分が見直されましたが、同時に保険金支払いについても見直されました。具体的には、保険金の支払いについても「半損」を2つに分け、上表のように「大半損:保険金額の60%」と「小半損:保険金額の30%」に細分化しました。改定前の損害区分と保険金支払額は以下の通りです。

〇全損:保険金額の100%
〇半損:保険金額の50%
〇一部損:保険金額の5%

時価とは?

時価とは、保険の対象(建物や家財)の新価から使用による消耗および経過年数などに応じた減価額を控除した金額をいいます。

 

 

 

4.門、塀のみの損害は、地震保険では補償対象外

火災保険であれば補償対象になる門や塀等のみの損害が地震保険では補償対象外になります。地震で門だけ壊れた、塀だけ倒れたという場合もあると思いますが、そのような場合は、補償対象外です。

最近では太陽光発電を利用しているご家庭も多いと思いますが、ソーラーパネルのみの損害も地震保険では補償対象外になります。

地震保険は建物の主要構造部(基礎・柱・壁・屋根等)に損害が発生した場合にしか保険金は受け取れません。

なお、地震を原因とする地盤沈下や液状化によって建物が傾いた場合は、保険金を受け取れる場合があります。

 

 

 

まとめ

地震保険は被害が広範に及ぶため、他の保険と異なり、損害の認定等に特殊な部分があります。

しかし、不要な保険とはいうわけではありませんし、今後、不満の多い点に関しては、改善される可能性もあります。地震保険に未加入の方は、加入をご検討頂ければと思います。

地震保険の補償内容等の詳細な内容について知りたいという方は、下記記事もお読みください。
地震保険について抑えておくべき5つのポイント

また、地震保険と火災保険の違いについては、下記記事で解説していますので、ご参照ください。
地震保険と火災保険の違いとは?必要性は?

なお、地震に対する補償が火災保険金額の50%では足りないとお考えの方は、地震に対する補償を上乗せする「地震危険等上乗せ補償特約」をセットするか、少額短期保険(ミニ保険)の地震補償保険への加入をご検討ください。

最終更新日:2018年4月21日
No.204

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