自動車(車両)を所有しなくても自動車保険に加入できることを下記記事でご紹介しました。
『自動車を持っていなくても加入できるドライバー保険とは?』
ドライバー保険を契約する以外にも自動車(車両)を所有せず、自動車保険に加入する方法があります。今回は、自動車を持っていなくても加入できる1日自動車保険について、東京海上日動の「ちょいのり保険」を事例に下記のポイントを解説します。
・1日自動車保険の補償内容や保険料
・1日自動車保険の加入方法
・1日自動車保険活用事例
・1日自動車保険加入時に注意すべきポイント
・1日自動車保険の各社比較
・ドライバー保険との比較
友人や知人の車を運転する場合や、子供が親の車を運転する場合に1日(24時間)単位で契約する自動車保険は利用できます。友人や知人等の他人の車をよく運転する方は、1日自動車保険の上記ポイントについて知り、ご活用頂ければと思います。
1.1日自動車保険「ちょいのり保険」とは?
1日(24時間)単位で加入できる自動車保険「ちょいのり保険」は借りた車を運転中の事故を補償する商品です。「ちょいのり保険」は東京海上日動の商品で、本人若しくは配偶者以外が所有する自動車を運転する際に加入できる1日自動車保険です。
1回の申込みで最長連続7日間まで加入可能で、運転する日数分だけ自由に加入できます。また、車を借りる当日でも申込が可能です。
ドコモ、au、SoftBankの3社の携帯電話(スマートフォン含む)やコンビニエンスストア「ローソン」「ミニストップ」の店頭端末から申込が可能です。保険料は1日500円からで1日だけでも加入できます。
2.1日自動車保険の補償内容・保険料
ちょいのり保険は、「車両補償あり(スタンダード)」、「車両補償あり(プレミアム)」、「車両補償なし」の3パターンから補償内容を選択できます。
主な補償内容は下記の通りです。
補償内容 | 車両補償ありプラン (プレミアム) |
車両補償ありプラン (スタンダード) |
車両補償なしプラン |
---|---|---|---|
対人賠償責任保険 | 〇 | 〇 | 〇 |
対物賠償責任保険 | 〇 | 〇 | 〇 |
対物超過修理費特約 | 〇 | 〇 | 〇 |
搭乗者傷害特約(一時金) | 〇 | 〇 | 〇 |
自損事故傷害特約 | 〇 | 〇 | 〇 |
車両補償 | 〇 | 〇 | × |
ロードアシスト | 〇 | 〇 | 〇 |
事故現場アシスト | 〇 | 〇 | 〇 |
弁護士費用特約 | 〇 | × | × |
法律相談費用補償特約 | 〇 | × | × |
「車両補償あり(スタンダード)」の車両補償には免責金額(自己負担額)が15万円、「車両補償あり(プレミアム)」の車両補償には免責金額(自己負担額)10万円が設定されています。
例えば、単独事故で修理費が100万円かかる場合、それぞれのプランでの保険金支払額は以下のようになります。
「車両補償あり(スタンダード)」
100万円(損害額) - 15万円(自己負担額) = 85万円(保険金支払額)
「車両補償あり(プレミアム)」
100万円(損害額) - 10万円(自己負担額) = 90万円(保険金支払額)
なお、各プランの24時間あたりの保険料は、それぞれ下記の通りです。
「車両補償あり(プレミアム)」:1日1,800円
「車両補償あり(スタンダード)」:1日1,500円
「車両補償なし」:1日500円
ドコモ、ソフトバンク、auのユーザーであれば、保険料は月々の携帯電話料金と一緒に支払えます。
3.1日自動車保険の加入方法
「ちょいのり保険」は、ドコモ、au、SoftBankの3社の携帯電話(スマートフォン含む)やコンビニエンスストア「ローソン」「ミニストップ」の店頭端末から申込が可能です。格安スマホ、格安SIM、パソコン、電話、または郵送での申込はできません。
また、三井住友海上の1日自動車保険である「1DAY保険(24時間単位型自動車運転者保険)」は、セブンイレブンのマルチコピー機から加入することも可能です。
「ちょいのり保険」の利用にあたっては、借りる車を運転する方を事前登録(コンビニエンスストア「ローソン」「ミニストップ」の店頭端末から申込む場合は事前登録は不要)し、実際に車を借りて運転することが決まったら利用申込を行います。
利用開始日が事前登録した日から7日以内の場合等は「車両補償ありプラン(プレミアム)」および「車両補償ありプラン(スタンダード)」は利用できません。
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4.1日自動車保険の対象となる車種
1日自動車保険の対象となる車種は、個人所有の自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車です。本人(記名被保険者)、本人の配偶者、法人が所有する車およびレンタカー、カーシェアリングは対象外です。また、バイクや原付についても対象とはなりません。
対象となる車種はドライバー保険より少ないので、ご注意ください。
5.1日自動車保険「ちょいのり保険」の割引制度
「ちょいのり保険」の利用者が新たに東京海上日動の自動車保険または超保険の自動車に関する補償を契約する場合、ちょいのり保険に保険事故がないときは、利用日数(保険責任期間)に応じて、「1日自動車保険無事故割引」が適用されます。
ちょいのり保険の
利用日数(保険責任期間)
|
無事故割引率 | |
---|---|---|
6等級(S) | 7等級(S) | |
5~9日 | 8% | 2% |
10~19日 | 15% | 4% |
20日以上 | 20% | 5% |
割引の適用には各種条件がありますので、詳細は保険会社または代理店にご確認ください。
なお、三井住友海上の「1DAY保険」にも同じ仕組みの割引「1DAYマイレージ割引(24時間自動車保険無事故割引)」があります。
6.1日自動車保険の活用事例
1日自動車保険はどのようなシーンで活用できるでしょうか?1日単位の自動車保険が活用できる事例をご紹介します。
例えば、以下のようなシーンで1日単位の自動車保険は活用できます。
友人や知人など、他人の車を借りて運転する
友人や知人等の自動車を借りて運転中に事故を起こし、その車の自動車保険を利用すると次契約の等級が下がり、保険料が上がります。1日単位の自動車保険を契約すれば、借りた車の自動車保険を使う必要がなくなり、友人や知人に迷惑を掛けることがありません。
同居の若い子供が免許を取り親の車を運転する
同居の若い子供が免許を取り、親の車を運転する場合、自動車保険の年齢条件を子供に合わせて変更する必要があります。若い子供に年齢条件を合わせると保険料が大幅に上がる可能性があります。
しかし、1日単位の自動車保険を契約すれば、若い子供に年齢条件を合わせる必要がありません。
下記記事で同居の子供に自動車保険の年齢条件を合わせた場合と、1日自動車保険を活用した場合の保険料シミュレーションを行っていますので、ご参照ください。
『若い子供が免許を取った場合の自動車保険節約術』
運転者限定特約がセットされた自動車を借りて運転する
他人から借りた車の自動車保険に補償される運転者を限定する「本人限定」や「本人・配偶者限定」等の運転者限定特約がセットされている場合、補償されません。
また、「家族限定特約」がセットされた自動車保険の場合、別居の既婚の子はその自動車保険では補償されません(別居の未婚の子は補償されます)。別居の既婚の子が帰省時に親の車を運転する場合、1日自動車保険を活用することができます。
7.1日自動車保険の各社比較
1日単位で契約できる自動車保険は、東京海上日動の「ちょいのり保険」の他に、三井住友海上の「1DAY保険(24時間単位型自動車運転者保険)」、あいおいニッセイ同和損保の「ワンデーサポーター(24時間単位型自動車運転者保険)」があります。
また、損保ジャパン日本興亜は、2019年1月から「乗るピタ」を販売しています。「乗るピタ」は12時間400円から契約が可能です。
保険会社 | 東京海上日動 | 三井住友海上 | あいおいニッセイ同和損保 |
---|---|---|---|
商品名 | ちょいのり保険 | 1DAY保険 | ワンデーサポーター |
料金プラン | 500円 1,500円 1,800円 |
500円 1,500円 1,800円 |
500円 1,500円 |
特徴 | 弁護士費用特約がセットされたプランあり | 車内手荷物等特約がセットされたプランあり | - |
東京海上日動の「ちょいのり保険」は、弁護士費用特約がセットされたプランがあります。もらい事故の場合には、役立ちます。
三井住友海上の「1DAY保険(24時間単位型自動車運転者保険)」には、車内手荷物等特約がセットされたプランがあります。カメラ、ゴルフバッグ等の個人所有の動産に事故で損害が発生した場合に補償されます。
保険会社ごとで保険料に差はありませんので、個人的には、弁護士費用特約は自動車保険にセット必須の特約だと考えていますので、上記3社の中では弁護士費用特約がセットされたプランがある東京海上日動の「ちょいのり保険」がおすすめです。
『自動車保険の必要性が高い特約とは?|プロおすすめの5特約』
自動車保険では当たり前になった示談交渉サービスですが、契約者(被保険者)に過失(責任)がなければ、事故の相手(加害者)側と保険会社は示談交渉ができません。
弁護士費用特約は、保険会社が示談交渉できない自動車事故などの被害事故等に関する相手方への損害賠償請求のために必要な弁護士費用や、弁護士などへの法律相談費用などを保険金として支払う特約です。
8.1日自動車保険加入時の注意点
1日単位自動車保険は、自動車保険ではあるものの、年単位で加入する自動車保険とは違いがある部分もあり、その点を認識しておく必要があります。1日単位自動車保険に加入する際には下記の点に注意が必要です。
車両保険に免責(自己負担)がある
車両保険がセットされているプランに加入する際には自己負担が10万または15万あることに注意が必要です。
一般的な自動車保険のように車両保険の免責金額(自己負担)0というプランはありません。
弁護士費用特約がないプランが多い
弁護士費用特約がセットされているプランは、3社の保険会社の中で1プランしかありません。借りた車の自動車保険に弁護士費用特約がセットされていればいいですが、セットされていない場合には、弁護士費用特約がセットされたプランに加入すべきです。
全ての車種が対象となるわけでない
1日単位の自動車保険に加入できる対象車種は少なく、対象となる車種は、個人が所有する自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車です。法人が所有する車およびレンタカー、カーシェアリングは対象外である点には注意が必要です。
なお、1日自動車保険の補償対象となるのは、あくまでも借りた車ですので、本人・配偶者が所有する車は補償されません。
例えば、自己所有の車があるにも関わらず、自動車保険には加入せず、車を運転するときだけ1日自動車保険に加入するというようなことはできませんので、ご注意ください。
9.1日自動車保険とドライバー保険との違い
1日自動車保険とドライバー保険とは何が違うのか?という疑問を持った方も多いのではないでしょうか。「ドライバー保険」と「1日自動車保険」の主な違いは下記の通りです。
1)1日自動車保険は運転する予定がないと契約できない
ドライバー保険は運転する予定がなくても1年間の契約が可能ですが、1日自動車保険は運転する予定の日と借りる車を特定して加入する必要があります。
2)1日自動車保険には等級制度がない
ドライバー保険には自動車保険と同様に等級制度があり、等級が進めば割引があります。しかし、1日自動車保険には等級はないので、ドライバー保険のような等級により保険料が割引になることはありません。
なお、三井住友海上の「1DAY保険(24時間単位型自動車運転者保険)」、あいおいニッセイ同和損保の「ワンデーサポーター(24時間単位型自動車運転者保険)」には、2回目以降の利用で割引にある制度があります。
3)1日自動車保険は対象となる借用自動車の種類が少ない
1日自動車保険はドライバー保険に比べて対象となる車種が少なく、自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車しかありません。
バイクや原付等は対象になりませんので、注意が必要です。
4)1日自動車保険は同居の親族の車も対象
1日自動車保険はドライバー保険では対象外となる同居の親族の車も補償対象となります。例えば、自分の親の車を借りて起こした事故も補償対象になります。
5)1日自動車保険には車両補償あり
ドライバー保険には車両保険はありませんが、1日自動車保険には車両補償(借用自動車の復旧費用補償特約)があります。
但し、補償額の上限は300万円で、かつ免責金額(自己負担額)が15万円または10万円ある点に注意が必要です。
10.24時間単位で加入できる1日バイク保険はない?
1日自動車保険のように24時間単位で加入できるバイク保険はないのでしょうか?
残念ながら、現状は24時間単位で加入できる1日バイク保険はありません。バイクは事故のリスクが高いこと、車ほど需要がないことなどが1日バイク保険が存在しない理由として考えられます。
上記の通り、1日自動車保険で補償対象となる借用自動車は、個人が所有する自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車で、原付(原動機付自転車)を含むバイクは、補償対象とならない点に注意が必要です。
なお、よくバイクを借りて運転する方であれば、「ドライバー保険」への加入をご検討ください。ドライバー保険であれば、借りた二輪自動車(原動機付自転車を含む)も補償の対象となります。
また、借りるバイクが125cc以下であれば、自動車保険に「ファミリーバイク特約」をセットすることで、補償されます。
『ファミリーバイク特約とは?補償範囲やメリットなど9つのポイント』
まとめ
ドライバー保険に比べると見劣りする部分もありますが、1日自動車保険は1日単位で契約できる手軽さと車両補償がある部分が魅力の商品です。
更に同居の親族が所有している車も補償対象となるので、子供が免許を取ってたまに親の車を運転するという場合には、活用できる商品です。
『若い子供が自動車を利用する場合の自動車保険節約術』
最終更新日:2019年5月10日
No.50