「古い車を廃車にし、新しく車を購入した場合、自動車保険も新たに加入する必要があるのか?」というご質問を頂くことがあります。
車を買い替える際には、新規に自動車保険を契約する必要はあるのでしょうか?
車を買い替えた場合、新規に自動車保険に加入する必要はなく、車両入替という手続きをすることにより、車両入れ替え前の車の自動車保険を新しい車に引継ぐことができます。
古い車で契約している自動車保険のノンフリート等級(割引)は進んでいる可能性がありますが、新規に自動車保険を契約することになると、ノンフリート等級(割引)はリセットされ、6等級新規契約になってしまいます。
古い車から新しい車に車両入替をすることにより、割引の進んだノンフリート等級を引き継ぐことができます。
今回は、車を買い替える際の自動車保険の手続きである車両入替について解説します。
1.車両入替とは?|車を買い替えた際の自動車保険の手続き方法
ご存知の方も多いと思いますが、車を買い替える場合、条件を満たせば新しい車と古い車を入れ替えることにより、それまでの自動車保険契約を活用することができます。
これを車両入替といいます。どの保険会社でも車両入替は可能です。
車両入替を行うことにより、ノンフリート等級(割引)も古い車から新しい車に引継ぐことができます。
具体的な車両入替の手続方法としては、自動車保険の変更書類にサイン(署名)をする必要があります。通販型自動車保険の場合、契約者専用ページからの手続きが可能な保険会社もあり、ネット上で車両入替手続きが完了します。
車両入替時の必要書類は、新しい車の車検証です。また、車両入替によって、保険料が変更になる場合には、差額の精算が必要となります。
車両入替により保険料が高くなる場合には差額を支払い、保険料が安くなる場合には差額が保険会社から返金されます。
2.車両入替には条件がある
車両入替は無条件にできるわけではなく、一定の条件を満たす必要があります。以下の①~③の条件をすべて満した場合、入替前の契約に適用されるノンフリート等級および事故有係数適用期間が入替後の契約に引き継がれます。
【条件①】
入替後の車の所有者が以下のいずれかに該当すること。
a)車両入替前の契約の自動車の所有者(所有権留保条項付売買契約の買主および貸借契約の借主を含む)
b)車両入替前の契約の記名被保険者
c)bの配偶者(内縁を含む)
d)bまたはcの同居の親族
【条件②】
入替後の車が、新たに取得または1年以上を期間とする貸借契約により借り入れた車または上記①に該当する者が既に所有している車であること。
【条件③】
契約の車と入替後の車が同一の用途・車種(同一とみなして取り扱うことができる用途・車種(下表参照)を含む)に該当すること。
車両入替前の自動車 | 車両入替後の自動車 | |
---|---|---|
自家用普通乗用車 | ⇒ | 自家用普通乗用車 |
自家用小型乗用車 | 自家用小型乗用車 | |
自家用軽四輪乗用車 | 自家用軽四輪乗用車 | |
自家用普通貨物車 (最大積載量0.5トン以下) |
自家用普通貨物車 (最大積載量0.5トン以下) |
|
自家用普通貨物車 (最大積載量0.5トン超2トン以下) |
自家用普通貨物車 (最大積載量0.5トン超2トン以下) |
|
自家用小型貨物車 | 自家用小型貨物車 | |
自家用軽四輪貨物車 | 自家用軽四輪貨物車 | |
特殊用途自動車 (キャンピング車) |
特殊用途自動車 (キャンピング車) |
|
二輪自動車 | ⇒ | 二輪自動車 |
原動機付自転車 | ⇒ | 原動機付自転車 |
例えば、買い替え前の車が自家用普通乗用車の場合、自家用普通乗用車や自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車などへの車両入替は可能です。
しかし、買い替え前が400ccなどの二輪自動車で、原動機自転車(原付)に買い替えた場合には、車両入替はできません。よって、新たに買った原動機自転車(原付)は、新たに自動車保険(バイク保険)に加入する必要があります。
車を買い替える際には、保険会社や代理店などに車両入替が可能な車種であるかの確認をしておくと安心です。
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3.自動車保険の車両入替3つのパターン
自動車保険の車両入替には下記の3つのパターンがあります。
1)単純車両入替
旧車両(入替前の車両)を廃車・譲渡・返還、盗難、一時抹消し、新規に取得した自動車と車両入替を行うことを単純車両入替といいます。
例)旧車両A(16等級)を廃車し、新規取得した車両Bと車両入替を行う。
2)増車車両入替
旧車両(入替前の車両)を廃車・譲渡・返還、盗難、一時抹消せず、新規に取得した自動車と車両入替し、はきだされた旧車両は新規で自動車保険を契約することを増車車両入替といいます。
例)旧車両Aを廃車等せず、新規取得した車両Bと車両入替を行い、はき出された旧車両Aは新規で自動車保険を契約する。
3)減車車両入替
旧車両(入替前の車両)を廃車・譲渡・返還、盗難、一時抹消し、他の所有自動車と車両入替を行うことを減車車両入替といいます。
例)旧車両Aを廃車し、他に所有している車両Bと車両入替を行う。
4.車両入替ができないパターン
車両入替ができないパターンもあります。下記事例のように2台の車を所有されている方で、所有している車両の自動車保険間で車両の入れ替え(等級の交換)をしたいというご要望を頂くことがあります。
例)車両A(16等級)と車両B(9等級)の2台の車を所有していて下記のような車両入替え
上図のような車両入替えはできません。
車の入替(車両入替)ができるのは、「新規に取得した自動車と入替える場合」または「契約の車の廃車・譲渡・返還等にともない他の所有自動車と入替える場合」に限ります。
5.車両入替手続き前の事故は自動車保険で補償される?
車両入替の手続き完了前に新しい車で事故を起こした場合、保険金が支払われない可能性がありますのでご注意ください。
但し、通知忘れに対する救済措置があり、各社には入替自動車を自動補償する「被保険自動車の入替における自動担保特約」等があります。原則、全ての契約に自動セットされます。
具体的には契約の車(車両A)から、新たに取得した車(車両B)へ車両入替する場合、車両Bを取得して30日以内に契約内容の変更手続きをすれば、手続き完了までの間、車両Bを車両Aとみなして補償される特約です。
なお、車両Aに車両保険が付保されている場合は、車両Bの市場販売価格相当額で車両損害も補償されます。
ご注意頂きたいのが、全ての車両入替パターンで自動補償されるわけではなく、単純車両入替のみの救済規定です。
まとめ
古い車から新しい車に買い替える際には、上記の通り、車両入替手続きを行うことによって古い車の自動車保険を新しい車に引継ぐことが可能です。ノンフリート等級(割引)も引継げます。
ただし、車両入替できないケースもありますので、注意が必要です。
また、新しい車に買い替える際の自動車保険の手続きタイミングは、原則、新しい車の納車前です。
先述の通り、車両入替の手続きが遅れても救済措置はありますが、補償内容の見直し等を行うことを考えると、余裕を持って納車前に自動車保険の手続きをしておくべきです。
『車を買い替える際の自動車保険変更手続きのタイミングは?』
最終更新日:2019年3月26日
No.76