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年齢条件が同じでも記名被保険者の年齢で自動車保険の保険料は異なる?

年齢条件とは別に記名被保険者(契約の車を主に使用する人)の年齢によって自動車保険の保険料が異なることをご存知でしょうか?

年齢条件とは別に記名被保険者の年齢によって保険料が異なる「記名被保険者年齢別料率」は、損害保険料率算出機構が2009年(平成21年)7月に発表した参考純率に導入したことにより、2011年(平成23年)から各社が自動車保険改定時に導入していきました。

年齢条件は、設定年齢が若くなるほど保険料が高くなりますが、記名被保険者年齢別料率については、記名被保険者の年齢が高齢になると保険料が高くなる仕組みになっています。

従って、車をよく運転する人が家族に2人以上いる場合、誰を記名被保険者にするかで保険料が安くなったり、高くなったりする可能性があります。

今回は、記名被保険者年齢別料率の仕組みと記名保険者の選択によって保険料を節約できる事例をご紹介したいと思います。

年齢条件の設定だけでなく、記名被保険者によっても保険料が変わる仕組みを知り、自動車保険の保険料を安くするヒントにして頂ければと思います。

1.記名被保険者とは?

まず、自動車保険の記名被保険者(読み方:きめいひほけんしゃ)について解説します。

記名被保険者とは、契約対象の車を主に使用する方で、保険証券などに記載された被保険者をいいます。補償の中心となる方のことで、対人・対物賠償責任保険や人身傷害保険の補償を受けられる方の範囲が記名被保険者を中心に決まります。

なお、契約者と記名被保険者とは同一である必要はありません。例えば、「契約者は夫、記名被保険者は妻」や、「契約者は親、記名被保険者は子供」のような契約が可能です。

自動車保険の「契約者」「記名被保険者」「車両所有者」の違いについては、下記記事をご参照ください。
自動車保険の「契約者」「記名被保険者」「車両所有者」の違いとは?

 

 

 

2.記名被保険者年齢別料率とは?

記名被保険者(契約の車を主に使用する人)が個人で、運転者の年齢条件が下記条件の契約の場合は、記名被保険者の年齢に応じた料率区分(記名被保険者年齢別料率区分)が設けられています。

記名被保険者年齢別料率区分が設けられている年齢条件区分

  • 26歳以上補償
  • 30歳以上補償
  • 35歳以上補償

記名被保険者の年齢は、以下のような条件で判定されます。

 

1)1年契約の場合

「契約期間の初日における記名被保険者の年齢」に基づく料率区分が適用されます。

 

2)1年超の長期契約の場合

「各保険年度ごとの初日における記名被保険者の年齢」に基づく料率区分が適用されます。

 

3)契約期間の途中で記名被保険者を変更する場合

「変更日時点での新記名被保険者の年齢」による料率区分が適用されます。

なお、記名被保険者年齢別料率区分は保険料算出のための区分なので、年齢条件とは異なり補償の対象となる運転者の範囲を制限するものではありません

例えば、年齢条件が「35歳以上補償」で記名被保険者の年齢が65歳だと記名被保険者年齢別料率区分は、「60歳~69歳」の区分に該当しますが、その区分の年齢の人しか補償しないとうことではありません。

妻が50歳だとすると記名被保険者年齢別料率区分の「60歳~69歳」に該当しませんが、妻が事故をした場合でも、年齢条件が「35歳以上補償」なので、補償されます。

 

 

 

3.記名被保険者年齢別料率区分

記名被保険者年齢別料率の区分は下記の通りです。

年齢条件 記名被保険者年齢別料率区分
法人 個人
全年齢補償
21歳以上補償
26歳以上補償

30歳以上補償

35歳以上補償
29歳以下
30歳~39歳
40歳~49歳
50歳~59歳
60歳~69歳
70歳以上

記名被保険者年齢別料率は、記名被保険者が個人の場合に適用されます。記名被保険者が法人の場合には、記名被保険者年齢別料率区分の適用はありません。

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4.記名被保険者年齢別料率の実際の試算例

実際に各料率区分でどの程度の保険料差が発生するのかを試算してみました。

【試算条件】
商品:トータルアシスト
免許色:ブルー
自動車:自家用軽四輪
使用目的:日常・レジャー
対人賠償:無制限
対物賠償:無制限
人身傷害保険:3,000万円
車両保険金額:100万円(一般条件) 免責0-10万円
等級:14等級
事故有係数適用期間:0年
年齢条件:35歳以上

記名被保険者年齢:29歳以下
年間保険料74,240円

記名被保険者年齢:30歳~39歳
年間保険料72,080円

記名被保険者年齢:40歳~49歳
年間保険料71,560円

記名被保険者年齢:50歳~59歳
年間保険料72,070円

記名被保険者年齢:60歳~69歳
年間保険料75,680円

記名被保険者年齢:70歳以上
年間保険料79,810円

上記試算条件では、30歳、40歳代では一旦、保険料が下がるものの、50歳からは値上がりし、60歳、70歳と徐々に値上がりが大きくなっていきます。

一番保険料が安い40歳代と一番保険料が高い70歳以上では、同じ補償内容、年齢条件で年間8,000円以上、保険料が異なります

 

 

 

5.記名被保険者の免許証の色でも保険料は異なる

仮に70歳の父親と同居の35歳の息子が同程度車を運転するとした場合、記名保険者は35歳の息子にする方が保険料は安くなることが上記の試算から分かります(免許の色が2人ともブルーとした場合)。

車を運転する頻度が同程度の方が複数人いる場合は、誰を記名被保険者にするかも保険料節約につながる要素となります。

上記の記名被保険者年齢別料率以外にも記名被保険者の免許証の色が「グリーン」、「ブルー」または「ゴールド」かでも誰を記名被保険者にするかが重要になります。

免許証の色は「グリーン」、「ブルー」、「ゴールド」の3種類があり、このうち、記名被保険者の免許証が優良運転者の証である「ゴールド」の場合、保険料の割引きがあります。割引率は保険会社によって異なり4~10%程度です。

免許証の色(グリーン・ブルー・ゴールド)

例えば、「29歳でブルー免許」の方よりも「80歳でゴールド免許」の方を記名被保険者にした方が保険料が安くなるケースがあります。

詳細は下記記事をご参照ください。
記名被保険者を誰にするかで保険料節約?

また、免許証の色が「ブルー」と「グリーン」で保険料が同じ保険会社と「ブルー」と「グリーン」でも保険料に差が出る保険会社があります。つまり、下記2パターンの保険会社があります。

「ブルー」と「グリーン」の保険料が同じ保険会社
「ゴールド」<「ブルー」=「グリーン」

「ブルー」と「グリーン」で保険料に差がある保険会社
「ゴールド」<「ブルー」<「グリーン」

グリーン免許の保険料については、下記記事をご参照ください。
グリーン免許は自動車保険の保険料が高い?
バイク保険もグリーン免許の保険料は高い?

なお、記名被保険者はあくまでも契約の車の使用頻度が一番高い人を設定します。保険料を安くするために実際にはほとんど運転しない人を記名被保険者にすると、告知義務違反となり契約が解除され、保険金が支払われない場合がありますので、注意が必要です。

 

 

 

6.保険期間の途中で記名被保険者を変更しても等級は引き継げるのか?

記名被保険者によって保険料が安くなる場合があるのであれば、保険期間の途中で記名被保険者を変更したいという方もいると思います。では、保険期間の途中で記名被保険者を変更することは可能でしょうか?

保険期間の途中で記名被保険者を変更することは可能です。しかし、誰に記名被保険者を変更するかでノンフリート等級(割引)が引き継げるか引き継げないかが異なります。

ノンフリート等級(割引)を引き継げる方の範囲は下記の通りですので、下記以外の方に記名被保険者を変更した場合、等級を引き継ぐことができず、割引がなくなってしまいますので、ご注意ください。

例えば、20等級(43%割引)の自動車保険の記名被保険者を等級の引き継げない方に変更した場合、等級は6等級となってしまい、43%割引は適用されなくなります。

ノンフリート等級が引き継げる範囲

1.記名被保険者の配偶者
2.記名被保険者の同居の親族
3.記名被保険者の配偶者の同居の親族

記名被保険者の変更やノンフリート等級の引き継ぎについては、下記記事で解説していますので、ご参照ください。
自動車保険の記名被保険者とは?変更すると等級を引き継げない?
自動車保険の等級(割引)を知人に譲ることができるか?

 

 

 

まとめ

年齢条件以外にも記名被保険者で自動車保険の保険料が異なる仕組みをご理解いただけたでしょうか。上記の仕組みを自動車保険の保険料削減に役立てて頂ければと思います。

自動車保険の保険料が変わる要素には、免許証の色、記名被保険者の年齢など、複数あるので、誰を記名被保険者にすれば一番保険料が安くなるかは実際に試算して確認する方が間違いありません。

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最終更新日:2019年1月8日
No.160