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確定拠出年金

専業主婦(夫)は個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する意味がある?

2017年(平成29年)1月から第3号被保険者である専業主婦(夫)も加入が可能になった個人型確定拠出年金(iDeCo)ですが、銀行や証券会社等の金融機関の勧めで何も考えずに加入するのは危険です。

専業主婦(夫)の方は本当に個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入するメリットがあるのか、ご自身の立場でよく考えてみた方がいいでしょう。

今回は、専業主婦(夫)の方にとっての個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリット、デメリットを確認してみたいと思います。

個人型確定拠出年金(iDeCo)については、下記記事で詳細に解説していますので、ご参照ください。
個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリット、デメリットとは?
個人型確定拠出年金(iDeCo)加入時に注意すべき5つのポイント

1.掛金の全額所得控除

まず、個人型確定拠出年金(iDeCo)の最大のメリットは、掛金が全額所得控除になる点ですが、全く所得が無いか、給与所得が103万円以下等の税金の掛からない範囲で収入を得ている専業主婦(夫)の場合は、所得控除のメリットはありません。

所得控除とは、掛金分が所得から控除され、その分税金が安くなるということですから、そもそも税金を払っていない場合には、掛金の所得控除という恩恵は受けられません。

また、社会保険料控除や生命保険料控除は、世帯主である夫(妻)が配偶者の保険料を支払った場合も活用できますが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金は、小規模企業共済等掛金控除なので、世帯主である夫(妻)が配偶者の掛金を払っても所得控除は活用できません。

つまり、所得のある夫(妻)が専業主婦(夫)の掛金を払っても、夫(妻)の所得からは掛金を控除できません。

税金を払っていない専業主婦(夫)の場合、所得控除のメリットがないため、元本保証の定期預金等を選んでしまうと現状の金利では、口座管理手数料がかかる分、資産がマイナスになってしまいます。

所得のない専業主婦(夫)が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する場合には、少なくとも口座管理費等の手数料を上回る運用益を出せるようでなければ、逆に資産を目減りさせてしまうことになります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、掛金を拠出すると、最低でも年間2,004円(1ヶ月167円)の口座管理手数料が掛かります。また、掛金を拠出せず、積立金の運用のみを行う場合でも最低年間768円(1ヶ月64円)の手数料が必要です。

専業主婦(夫)の方は、上記の毎月かかるコストを確認する必要があります。

 

 

 

2.運用益の非課税

一般の金融商品は運用益に20.315%の税金がかかりますが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合、運用益は全額非課税です。

この運用益の非課税については、専業主婦(夫)でもメリットがあります。但し、このメリットにつていは、NISA(少額投資非課税制度)でも同様のメリットがあるので、わざわざ個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する意味があるのかという疑問が残ります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)であれば、口座管理費等の手数料が必要となってしまいます。

また、NISAであれば、いつでも現金化が可能ですが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合には、原則、60歳まで掛金を引き出すことが出来ないというデメリットがあります。

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3.受取時の税制優遇措置

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、給付金を一時金で受け取る際には、「退職所得控除」、年金で受け取る際には、「公的年金等控除」が使えるのもメリットの1つです。

しかし、NISAも値上がり益や配当が非課税なので、この点についてもNISAに比べて個人型確定拠出年金(iDeCo)の方が優れているとはいえません。

 

 

 

4.NISAはいつまで続く?

上記の通り、専業主婦(夫)には、個人型確定拠出年金(iDeCo)よりもNISAの方が選択肢としては、ありだと思われます。

しかし、NISAは2023年までの10年間の制度であり、毎年の非課税投資枠120万円の非課税期間は、それぞれ最大5年間となっています。

また、非課税投資枠内の資産を途中で売った場合は、非課税枠を使ったとみなされ、再利用をすることができません。さらに、投資総額は合計600万円までとなっているという制約があります。

但し、今後NISAが恒久化される可能性もあります。

2018年1月から開始される予定の積立NISAについては、非課税枠が年間40万円、非課税期間が20年間で、投資総額は800万円までとなっています。

現行NISAとの併用はできませんが、年間の非課税枠が40万円であれば、個人型確定拠出年金(iDeCo)の年間27.6万円より枠が大きいので、専業主婦(夫)の方には、いいかもしれません。

NISAは口座管理手数料は掛からないですし、いつでも投資している商品を売却して現金化が可能という個人型確定拠出年金(iDeCo)にはないメリットがあります。

 

 

 

5.離婚しても掛金を払える?

専業主婦(夫)の場合、離婚の可能性も考慮した方がいいと思います。

婚姻期間中は、夫に収入があり、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金を支払えたとしても離婚しても支払い続けられるでしょうか?

仮に離婚して、専業主婦(夫)が働くことになったとしても個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金を拠出できるほどの収入を稼げない可能性もあります。

それでも、それまでに拠出した積立金は60歳まで引き出すことができず、その間も口座管理手数料が掛かり続けます。

運用が上手くいけばいいですが、そうでない場合、積み立てた資産は減り続けていきます。

 

 

 

まとめ

専業主婦(夫)の方については、現状の金利で、元本保証ではない投資信託等の商品に投資するつもりがないのであれば、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入するメリットは少ないと思われます。

資産を運用する予定があっても個人型確定拠出年金(iDeCo)とNISAのどちらがご自身に合っているのかを検討してから加入する方がいいでしょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリットをまとめると先述の通り、以下の3点です。
・掛金の全額所得控除
・運用益非課税
・受取時の税制優遇措置

3つのメリットのうち、「運用益非課税」と「受取時の税制優遇措置」については、積立金を上手に運用している場合に活用できるメリットです。しかし、資産運用については、上手くいくかどうか分かりません。

よって、3つのメリットのうち、確実に享受できるのは、「掛金の全額所得控除」です。しかし、専業主婦(夫)については、その所得控除のメリットを受けにくいという点に注意して頂きたいと思います。

 

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