夏になると毎年のように熱中症のニュースが流れます。近年では、全国各地で35℃を超える猛暑日が続くこともあります。
熱中症も軽度であれば、病院に行かずに対処できると思いますが、重度になると、病院に行く必要があったり、入院する必要が発生する可能性があります。また、残念ながら熱中症で亡くなってしまう方もいらっしゃいます。
では、熱中症による治療費や死亡などを補償(保障)する保険はあるのでしょうか?また、どのような保険に加入していれば、熱中症は補償(保障)されるのでしょうか?
今回は、熱中症と保険の下記ポイントについて解説します。
・熱中症は、健康保険(公的医療保険)が適用される?
・熱中症を補償(保障)する保険とは?
・熱中症を補償(保障)する保険の補償(保障)内容とは?
・熱中症が補償されない保険とは?
今回の記事を読み、熱中症に対して保険でどのような備えができるのかを知って頂ければと思います。
1.熱中症は健康保険(公的医療保険)が適用される?
まず、「熱中症は健康保険(公的医療保険)が適用されるのか?」というご質問を頂くことがありますが、熱中症の治療については、健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険などが使えます。
「熱中症には健康保険が効かない」や「熱中症は健康保険の適用対象外」というような情報がネット上にあるようですが、全て間違いです。
よって、熱中症によって病院や診療所で治療を受ければ、公的医療保険を利用して医療費は1~3割負担となります。また、入院などで医療費が高額になれば、高額療養費制度の対象となります。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費の額が暦月(月の初めから終わりまで)で限度額を超えた場合には、その超えた額が支給される制度です。
高額療養費制度の詳細な内容については下記記事をご参照ください。
『医療保険は不要!?高額療養費について理解しておくべきポイント』
2.熱中症が保障(補償)される保険
では、民間の保険で熱中症が補償対象となる商品にはどのようなものがあるのでしょうか?
・生命保険は熱中症が保障対象となる
生命保険は熱中症が保障の対象となります。
具体的には、熱中症が原因で亡くなった場合や高度障害状態になった場合に保険金を受け取ることができます。
ただし、災害割増特約については、熱中症は保障対象になりません。
災害割増特約は、不慮の事故による傷害を直接の原因として、その事故の日から起算して180日以内に死亡した場合や所定の高度障害状態になった場合に保険金が支払われます。熱中症、日射病、熱射病等は不慮の事故に含まれないとなっていますので、災害割増特約の保障対象とはなりません。
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・医療保険は熱中症が保障対象となる
医療保険も熱中症が保障対象となります。具体的には、熱中症で入院すれば、入院給付金が受け取れます。
また、通院給付金も保障の対象となります。ただし、通院給付金は入院しなければ、保障の対象にはならない点に注意が必要です。
例えば、熱中症が原因で通院のみで治療した場合には、通院給付金を受け取ることはできません。一方、熱中症が原因で入院し、その後に通院したような場合には、通院給付金を受け取れることになります。
『医療保険の通院保障は必要?』
・海外旅行保険は熱中症が補償対象となる
海外旅行保険は、海外旅行中に発病した病気も補償対象となります。よって、海外旅行中に熱中症になり、海外の医療機関で治療を受けた場合、その治療費用などが補償されます。
・スポーツ保険は熱中症が補償対象となる
スポーツ保険と呼ばれているスポーツ安全協会が提供しているスポーツ安全保険の傷害保険では、熱中症が補償されます。
スポーツ活動やボランティア活動、文化活動などを行う団体に所属している場合、所属団体がスポーツ安全保険に加入していれば、団体での活動中およびその往復中の熱中症が補償されます。具体的には、熱中症による死亡、後遺障害、入院、手術、通院が補償されます。
参照:スポーツ安全保険(出典:公益社団法人スポーツ安全協会)
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3.熱中症が保障(補償)されない保険
つづいて、熱中症が補償対象とならない保険について解説します。
・傷害保険は熱中症が補償対象とならない
原則、傷害保険は熱中症が補償対象とはなりません。
傷害保険は突発的な事故による「ケガ」を補償対象としているので、突発的な事故による「ケガ」ではない熱中症は傷害保険では補償対象外としている場合が多いです。
具体的には、傷害保険は『急激かつ偶然な外来の事故』を補償対象としています。熱中症は上記の『急激かつ偶然な外来の事故』という条件を満たさないので、補償対象外となってしまいます。
ただし、傷害保険に特約をセットすると、熱中症が補償される場合があります。全ての傷害保険に熱中症を補償する特約をセットできるわけではありませんが、下記のような「熱中症補償特約」をセットできる傷害保険の場合には、熱中症による入院や通院などが補償対象となります。
「日射」または「熱射」により被った身体の障害についても、後遺障害保険金、入院一時金、入院保険金、手術保険金および通院保険金を支払う特約。
・国内旅行保険は熱中症は補償対象とならない
国内旅行保険は、国内旅行中の突発的な事故によるケガを補償する保険です。傷害保険と同様に『急激かつ偶然な外来の事故』が補償対象となります。よって、熱中症は補償対象となりません。
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まとめ
保険の種類によって、熱中症が「保障(補償)される」、「保障(補償)されない」、に違いがあります。また、特約をセットするれば、熱中症が補償される場合もあります。
今回の記事のポイントをまとめると、下記の通りです。
- 熱中症の治療には、健康保険(公的医療保険)が使える
- 生命保険、医療保険、スポーツ保険、海外旅行保険などは、熱中症が保障(補償)される
- 傷害保険、国内旅行保険、生命保険の災害割増特約などは、原則、熱中症が補償(保障)されない
熱中症は、予防ができる病気です。
熱中症になったら医療費が心配と、保険に入って備えるよりも、まずは、熱中症にならないようにする予防の方が大切になると思います。
まずは熱中症にならない予防をして、更に心配であれば、保険で備えるという形にするといいでしょう。
最終更新日:2019年7月30日
No.353