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エンディングノートとは?|おすすめの選び方・書き方

エンディングノートという言葉にどようなイメージを持たれているでしょうか?高齢の方が終活など、人生の最期に向けて記入するものだと思われている方が多いと思います。

エンディングノートというネーミングが悪いのですが、実は高齢の方だけでなく、若い方でもエンディングノートの中で記入し記録を残しておいた方がいい項目があります。若い方の場合には「家族への伝言ノート」や「情報共有ノート」といってもいいかもしれません。

高齢の方だけではなく、若い方でもエンディングノートで記入しておいた方がいい理由と、エンディングノートのオススメの書き方・選び方のポイントについて解説します。家族に伝えておくべき大切なことと、伝えておかないと発生し得る問題点について知って頂ければと思います。

1.エンディングノートとは?

エンディングノートとは自身の思いや希望を家族に伝えるためのノートです。人生の終末期や死後に、家族が様々な判断や手続きを進める際に必要となる情報をエンディングノートに残しておきます。

エンディングノートに記録しておくべき項目としては、資産(預貯金、保険、借入金)家族・親族一覧医療・介護葬儀・供養等です。

エンディングノートで記入する項目は多岐にわたります。若い方でも全て記入することがベストですが、ご自身に万が一の際に家族が困らないように記録しておくべき項目に絞って記入するといいでしょう

 

 

 

2.若くてもエンディングノートが必要な理由

エンディングノートは、終活をしているような高齢の方だけに必要なものではありません。若い方でもエンディングノートを記入しておいた方がいいことは間違いありません。

なぜ、若くてもエンディングノートの記入が必要なのでしょうか?

若い方が亡くなる可能性は、高齢の方よりも低いですが、若くても事故などで亡くなる可能性はゼロではありません。また、事故で意識が戻らなくなることもあります。意識がない状態が短期間であってもその期間に色々と問題が発生する可能性があります。

自分に万が一のことがあった時、家族は問題なく生活できるだろうか?」と不安に感じることはありませんか?その不安に思う点をエンディングノートという形でご家族に伝えるといいでしょう。

それでは、これから家族に伝えておくべき重要な項目について解説していきます。

 

 

 

3.エンディングノートのおすすめの簡単な書き方

エンディングノートのおすすめの書き方は、万が一の際に家族に伝えるべき項目に絞って書くという方法です。重要だと思う項目以外は思い切って書かないという選択をしてしまいます。

エンディングノートは初めから最後まで書こうと思うと、項目が多くて途中で挫折してしまうことが多いと思います。初めから最後まで書こうと思うから途中で挫折してしまうわけですが、最初から必要な項目だけピックアップして書けば、途中で挫折する可能性は下がります。

エンディングノートを全て完璧に書こうとする必要はないと思います。重要な項目だけ書けばいいという軽い気持ちで書き始めることが重要でしょう。

最終的に全ページが記入できていなくても、ご家族に伝えておくべき重要な項目が書けていればそれでいいと考えて書いてください。

FP(ファイナンシャル・プランナー)として考える、ご家族に伝えておくべき重要な項目6つについて解説していきます。

 

3-1.保険契約一覧

どの年代の方でも生命保険医療保険、また、自動車保険火災保険なども、どこの保険会社で契約しているかや証券番号等を記入した一覧を準備すると安心です。

生命保険や医療保険については、万が一の際に請求漏れがないように。また、自動車保険については、ご家族が車を使用し続ける場合は、保険契約を継続させる必要があります。

自宅の火災保険については、ご家族の方が住み続けるのであれば、必要な保険契約ですので、契約者の方に万が一のことがあっても継続する必要性があります。

どの保険会社で契約したかが分からないと、補償が切れてしまう可能性があります。自動車保険や火災保険は、原則、保険期間1年で毎年満期更改手続きが必要です。

満期更改手続きをしないと、満期で契約が終了してしまい、補償がなくなってしまいます

契約者の方が亡くなっていない場合でも意識不明になったり、認知症などになった際には、医療保険の給付金等の請求漏れがないように、また、自動車保険や火災保険等のご家族にとっても必要な保険契約を継続するためにも保険契約の一覧を作成しておいた方がいいでしょう。

 

3-2.口座振替契約一覧

保険料や家賃等の毎月や毎年引き落としがあるものについて口座振替一覧を作成しておくといいでしょう。どの金融機関の口座から、家賃や生命保険の保険料等が引き落とされるのかなどについて一覧で管理しておくと、万一の際にご家族の方が対処しやすくなります。

生命保険については、被保険者が亡くなってしまった場合には、保険金の請求手続きになりますが、意識不明の場合、契約を継続しておく必要があります。

貯蓄性のある商品の場合、保険料が未納になっても、解約返戻金を利用して自動振替貸付を行い、契約を有効に継続させられる可能性がありますが、掛け捨ての生命保険の場合、保険料が未納だと失効してしまい、保障が消滅してしまいます。

解約返戻金があるタイプの契約でも保険料に振り替えるべき返戻金が無くなれば、失効し、保障はなくなってしまいます
生命保険の保険料を支払えなかった場合の流れ

重要な引き落としがある場合には、金融機関名、口座番号等と、引き落とし金額を一覧で作成しておくべきす。

また、同様に定期的に振込が必要なものも一覧化しておくといいでしょう。例えば、家賃などは、引き落としではなく、振込が必要な場合もあると思いますので、振込が必要な契約等があれば、振込先口座等を一覧化しておくと安心です。

 

3-3.銀行口座の一覧

どこにどのような財産があるかを家族に知らせるために銀行口座の一覧があった方がいいでしょう。通帳がある銀行であれば、家族が気付く可能性もありますが、通帳がないネット銀行の場合、口座の存在にさえ、家族が気付かない可能性もあります。

 

3-4.借金

借金があることを知らないと、突然、銀行等の債権者から相続人が借入金の返済をを求められることになります。

被相続人(亡くなった方)に借金が多い場合には、相続放棄という選択肢がありますが、原則、相続が開始されてから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出ないと相続放棄できなくなってしまいます

被相続人に多額の借金があったことを知った時には相続放棄できない状態になってしまっている可能性は十分に発生し得ます。

また、借金は相続人間で相続しない協議(遺産分割協議)をしていても債権者(銀行等)に免責的債務引受をしておかないと法定相続分で当然に分割されますので、ご注意ください。
「相続放棄」と「相続分の放棄」何が違う?

 

3-5.保証人

保証人の地位も相続人に相続されます。保証人になっている方が亡くっても保証人の地位は消滅しません

友人や知人の借金の保証人になっている、経営している会社の連帯保証人になっている等の情報は家族に知らせておくべき重要な事項です。

保証人に関しても相続人に知らせておかないと、突然、借金の返済を求められる可能性があります。借金を求めらた時には相続放棄ができない状態になっているということは借金の場合と同じように発生し得ます。

保証人とは?

保証人とは、民法第446条に、『主たる債務者がその債務を履行しない場合に、その履行をなす責任を負う者』と規定されています。

例えば、知人の借金の保証人となっていれば、知人が借金の返済ができない場合に保証人が借金を返済する責任が発生します。

 

3-6.不動産や有価証券の一覧

不動産や有価証券(株式、債券、投資信託など)の一覧も作成しておくといいでしょう。不動産は自宅以外にも投資用不動産があれば一覧にしておくべきです。

株式などの有価証券については、銘柄名だけでなく、購入した証券会社・支店名などを記入しておくといいでしょう。

 

 

 

4.配偶者の一方が資産などを管理している場合

一家のお金や保険契約の一切を夫婦のとちらかが全て管理しているという家庭も多いと思います。そのような場合も夫婦や家族でその情報を共有しておかないと配偶者(妻または夫)に万が一のことがあった場合に困ることになります。

配偶者(妻)が全てを管理していると安心していた方で、先に配偶者(妻)が亡くなり、何がどこにあるかも分からず途方に暮れるという事例もありました。

特に、夫婦間では重要な情報は共有しておくべてきです。そのためにもエンディングノートのようなもので、重要な情報をまとめておくといいでしょう。

 

 

 

5.定期的な更新も重要

今回ご紹介した内容を記述した一覧は一度作成して終わりというわけではありません。時間が経てば財産の内容などは変化しますので、定期的にメンテナンスすることが重要です。

エンディングノートのようなものは、一番初めに作成するのは大変ですが、一度作成してしまえば、それを更新することはそれほど難しい作業ではないと思います。作成した一覧のメンテナンスを年末の恒例行事にしてもいいでしょう。

 

 

 

6.オススメの無料エンディングノートの選び方

ネットで検索すれば、無料のエンディングノートは沢山出てきます。その中で自分が書きやすいと思うものを選んで頂ければと思います。

エンディングノートは一冊に決める必要はありません。保険契約一覧と口座振替一覧を別々のエンディングノートから選んでも問題はありません。

エンディングノートは遺言のように法的な効力があるわけはないので、軽い気持ちで書いて問題ありません。ご自身が万が一の際、ご家族に必要な情報さえ残すことができればいいわけです。
「遺書」、「遺言書」、「エンディングノート」の違いとは?

まずは、無料配布のエンディングノートで必要となる事項を記入してみて、もっときっちりと書きたいということであれば、有料のエンディングノートを買ってきて書くという方法でもいいと思います。

 

 

 

まとめ

上記以外にも「解約すべきサービス一覧」など、あった方がよい一覧もありますが、まずは、遺された家族が生活に困らないように資産関連で重要となる項目にてついて、家族で情報を共有しておくことが重要です。

エンディングノートには、お墓のこと、服用している薬のことなど、今回ご紹介した項目以外にも記入しておいた方がいい項目が沢山あります。しかし、エンディングノートは、ものによってはページ数が多く、見るだけで書く気持が萎えてしまうものもあります。

よって、重要なことは、全てのページを記入することではなく、最も家族と共有すべき情報について、書ける部分から記入することだと思います。

簡単に書ける項目からでもいいので、まずは記入し始めることが重要です。ご自身でどのような項目を家族で共有すべきか判断できない時には。FP(ファイナンシャル・プランナー)などの専門家に相談しながら記入するのもいいでしょう。

保険契約に関しては、信頼できる保険代理店の担当者やFP(ファイナンシャル・プランナー)に管理を任せるのもいいでしょう。何かあった時にすぐに相談できる相手がいると安心です。

 
最終更新日;2018年11月11日
No.309

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