火災保険で盗難も補償されることをご存知でしょうか?ご近所で泥棒(空き巣)が入ったなどの話を聞くことがあることがあると思いますが、そのような際に火災保険で補償される場合があります。
今回は、盗難の際に火災保険にはどのような補償があるのかや、火災保険の盗難補償の必要性について解説したいと思います。
1.火災保険の盗難補償とは?
火災保険の補償範囲は広く、下記のような補償があります。
【火災保険の補償内容】
①火災、落雷、破裂、爆発
②風災・雹(ひょう)災・雪災
③水災
④水ぬれ、物体の落下等、騒擾
⑤盗難
⑥破損・汚損等
上記のように盗難に対しても補償があります。
ただし、補償範囲を選べる火災保険もあるので、盗難の補償を選んでいなければ、補償はされません。
『火災保険を契約する際に押さえておくべき8つのポイント』
1)盗難による建物の補償
建物は盗難しようがないので、盗難の補償は必要ないのではないかと思われるかもしれませんが、下記のような盗難による建物への損害が補償されます。
【盗難による建物の事故例】
・泥棒により盗難の際にガラスを割られた
・泥棒により盗難の際にドアやカギを壊された
上記のような場合、ガラスやドア、カギの修理費が火災保険で補償されます。なお、未遂で家財は何も盗れていなくても、ドアや窓ガラスなどに損害が発生した場合には火災保険で補償されます。
2)盗難による家財の補償
家財を補償の対象としている場合、家財(テレビやパソコン、家電製品など)を盗られたら場合に補償されます。ただし、スマホなどの携帯電話やバイク(125cc超)など補償対象とならない家財もあります。
『家財保険とは?|必要性や保険金額の目安を解説!』
2.現金の盗難も火災保険で補償される?
火災で現金が燃えても火災保険では補償されませんが、現金が盗難された場合には、火災保険で補償されます。ただし、補償される額には限度があります。
『現金が燃えてしまったら火災保険で補償される?』
例えば、損保ジャパン日本興亜の火災保険『THEすまいの保険』では、現金(通貨)等の盗難の補償限度額は下表の通りとなっています。
事故の種類 | 補償限度額 |
---|---|
通貨等、印紙、切手、 乗車券等の盗難 |
20万円 |
預貯金証書の盗難 | 200万円または家財の保険金額の いずれか低い額 |
また、宝石や骨とう品などの明記物件が盗難に遭った場合には、1回の事故につき、1個または1組ごとに100万円または家財の保険金額のいずれか低い額が補償の限度となります。
『宝石や骨董品(明記物件)は火災保険で補償される!?』
3.原付や自転車の盗難も火災保険で補償される?
自動車やバイク(125cc超)の盗難は火災保険で補償対象外ですが、原付(総排気量125cc以下)や自転車については、盗難されると、補償対象となります。
ただし、自宅敷地内での盗難に限られます。自転車や原付を駅などに置いておいた際に盗難されたという場合には、補償対象外です。
『火災保険(家財保険)で自転車や原付の盗難が補償される!?』
4.火災保険の請求時には、警察への盗難届が必要
盗難の損害を保険会社に請求する場合には、警察への盗難の届出が必要です。盗難の被害に遭った場合には、速やかに警察へご連絡下さい。保険会社や代理店への報告は、警察へ連絡した後で全く問題ありません。
火災保険の請求には、盗難届の受理番号が必要となりますので、必ず警察に届けるようにしてください。
5.地震保険では盗難は補償対象外
火災保険では盗難が補償対象となりますが、地震保険では地震等の際に発生した保険の対象の紛失・盗難による損害については、補償の対象外となりますので、ご注意ください。
『地震保険について押さえておくべき5つのポイント』
6.火災保険に盗難の補償は必要?
さて、最後に火災保険に盗難の補償は必要なのかについて解説したいと思います。
三井住友海上の火災保険「GKすまいの保険」のパンフレット掲載されている、火災保険の補償別の保険金支払件数割合と保険金支払額割合(平成25年度~平成27年度)は下表の通りです。
補償 | 保険金支払件数割合 | 保険金支払額割合 |
---|---|---|
火災、落雷、破裂・爆発 | 6% | 17% |
風災、雹災、雪災 | 35% | 43% |
水ぬれ | 8% | 11% |
盗難 | 3% | 4% |
水災 | 1% | 7% |
破損、汚損等 | 47% | 18% |
盗難の補償は、保険金支払件数割合、保険金支払額割合ともに低いことが分かります。保険金の支払実績を確認する限り、火災保険の盗難補償の必要性は低いといえるでしょう。
実際に住んでいる地域の空き巣発生件数などを考慮して、火災保険の盗難補償の必要性を判断して頂ければと思います。
まとめ
火災保険の盗難補償についてご理解いただけたでしょうか。
火災保険の盗難補償は、保険金の支払実績からすると必要性が高い補償ではありませんので、不要だと判断される場合には、補償が選べて盗難補償を外せる火災保険に加入するといいでしょう。
なお、火災保険は補償範囲が広いので、保険金の請求もれが発生する可能性があります。盗難に遭ったが、火災保険で補償されることを知らなかったという場合には、保険会社に至急ご連絡下さい。
最終更新日:2019年2月28日
No.317