車は購入時の費用だけでなく、所有すると色々な維持費(コスト)が掛かります。ガソリン代、駐車場代、車検、税金、保険など。
今回は、保険の観点でどの車種(普通乗用車や軽自動車など)を買うかで、どの程度年間の維持費が異なるかを確認してみたいと思います。
自動車保険の保険料等は、毎年必ず負担すべきコストですので、そのコストを下げることができれば、毎年のコスト削減額は小さくても車を所有している期間で考えると維持費の総額はかなり変わってきます。
車を購入する予定の方は今回の記事を参考にして維持費削減に役立てて頂ければと思います。
1.自賠責保険料
自動車保険には強制加入の自賠責保険(共済)と任意加入の自動車保険(任意保険)があります。自賠責保険は強制加入なので、必ず必要となる維持費の1つとなります。
自賠責保険の補償内容については、下記記事をご参照ください。
『自賠責保険を正しく理解していますか?』
民間の損保会社が販売する自動車保険(任意保険)はあくまでも自賠責保険の上乗せという位置づけなので、任意保険である自動車保険だけ加入して自賠責保険に加入していないと、自賠責保険部分の補償が免責(補償対象外)になったり、示談交渉サービスが受けられない等の問題が発生します。
『示談交渉サービスが受けられない4つのパターン』
自賠責保険と自動車保険(任意保険)との関係等、自動車保険の仕組みの詳細については、下記記事をご参照ください。
『自動車保険の仕組み』
また、自賠責保険(共済)は加入が義務付けられているので、未加入の場合には、罰則があります。
では、軽自動車と普通乗用車では、自賠責保険の保険料にどの程度の差があるのでしょうか?軽自動車と普通乗用車の自賠責の保険料は下表の通りです。(平成29年5月現在)
車種 | 24ヶ月 | 36ヶ月 |
---|---|---|
軽自動車 | 25,070円 | 34,820円 |
自家用乗用車 | 25,830円 | 35,950円 |
差額 | 760円 | 1,130円 |
自賠責保険はどの保険会社で加入しても保険料は同じです。また、補償内容も同一です。年齢条件等によっても保険料は変わりません。
よって、自賠責保険を節約するには、保険料が安い車種を選ぶ以外に方法はありませんが、普通乗用車と軽自動車の自賠責保険の保険料差は大きくありません。
2.自動車保険の保険料
自動車保険の保険料は車種によって異なります。自家用普通乗用車や自家用小型乗用車は、型式別料率クラスが導入されており、補償内容が同じでも型式によって保険料が大きく異なることがあります。
型式別料率クラスとは、型式毎に設定された保険料率です。クラスは保険種類(対人賠償保険、対物賠償保険、人身傷害補償保険・搭乗者傷害保険、車両保険)毎に定められていて、1~9の9段階です。型式別料率クラスは車種(型式)ごとの事故実績を反映しています。
最も事故実績が低い1クラスが最も保険料が安く、最も事故実績が高い9クラスが最も保険料が高くなります。
例えば、高級車やスポーツカーは盗難によって車両保険の支払いが多くなったり、事故の際の修理費が高額になる傾向があるので、車両保険の料率クラスは高くなっています。よって、同じ保険金額の車両保険でも一般的な車に比べて高級車やスポーツカーの保険料の方が高くなる傾向があります。
尚、「型式別料率クラス」は損害保険料率算出機構が決定したものを各保険会社で利用しているので、保険会社によって異なることはありません。また、毎年1回、1月1日付けで損害保険料率算出機構にて見直しを行います。
軽自動車には型式別料率クラスは導入されていないので、車種によって保険料が変わることはなく、補償内容が同じであれば、保険料は同額になります。ただし、軽自動車に関しても今後、型式別料率クラスが導入される予定です。
型式別料率クラスの詳細については、下記記事をご参照ください。
『車によって自動車保険の保険料が違う!?』
どの車種を購入するかによって、自動車保険の保険料という維持費(ランニングコスト)は大きく異なる可能性があります。
自動車保険(任意保険)については、自賠責保険と違い、保険会社毎に保険料が違います。年齢や免許の色、年間走行距離等によって保険料が安い保険会社が異なります。
条件によっては、保険会社間で年間5万円以上の保険料差が発生する可能性もありますので、是非、一括見積もりサービス(無料)で保険料比較をしてみてください。
3.自動車保険の各種割引
自動車保険(任意保険)には以下の通り、各種の割引があります。どのような車を購入するかによって適用される割引、適用されない割引があります。
割引が適用される車種を購入すれば、保険料という維持費を下げることが可能なので、参考にして頂ければと思います。
1)新車割引
新車で車を購入する場合、新車割引が適用されます。
但し、新車割引の対象車種を自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車の3車種にしている保険会社と、自家用普通乗用車、自家用小型乗用車の2車種にしている保険会社があります
つまり、軽自動車を新車で購入しても新車割引が適用されない保険会社もあるので注意が必要です。
『新車割引がない!?』
初度登録(または初度検査年月)の翌月から25ヶ月以内の自動車に新車割引が適用されます。
2)エコカー割引
ハイブリッド車、電気自動車、圧縮天然ガス自動車(CNG車)等のエコカーに適用される割引です。割引率は3%程度です。
初度登録の翌月から13ヶ月以内の車にエコカー割引は適用されますので、中古車でハイブリット車や電気自動車などを購入してもエコカー割引きが適用されない場合もあります。
3)自動ブレーキ割引(安全装置割引)
今話題の衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)が搭載されている車について東京海上日動、損保ジャパン日本興亜など大手損保会社では、2018年1月から「SV割引」が導入されています。「自動ブレーキ割引」として認識されている新しい安全装置割引です。
自家用普通乗用車、自家用小型乗用車については、発売後3年以内の車(型式)を対象として、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)あり車両に9%の割引が適用されます(発売から3年を経過した車は衝突被害軽減ブレーキ(AEB)装着によるリスク軽減効果が型式別料率クラスに反映されているため、割引の対象外となります)。
自家用軽四輪乗用車については、型式別料率クラスが導入されていないため、全型式を対象として衝突被害軽減ブレーキ(AEB)あり車両に9%の割引が適用されます。
(あいおいニッセイ同和のHPより抜粋)
『自動車保険の安全装置割引は「自動ブレーキ割引(ASV割引)」のみ?』
まとめ
自動車保険という観点から考えると、普通乗用車に比べ、軽自動車の方が維持費は安く済みます。
自動車保険以外の維持費(ランニングコスト)としては、税金(自動車・軽自動車税・自動車重量税)車検代、駐車場代、ガソリン代等がかかります。
維持費の面だけで考えれば、普通乗用車に比べ軽自動車が勝るのは間違いないでしょう。
No.283