がんは治療にお金がかかる可能性が高い病気です。がんの種類によって、また選択した治療方法によって治療費がどのくらいかかるか分かりません。
健康保険の適用される治療方法であれば、高額療養費制度で治療費の負担は押さえられますが、自由診療や先進医療を選択した場合には治療費負担は高額になる可能性があります。
実際にがんになれば、色々な不安要素がありますが、まず考えることは治療費はどのくらいかかるのだろうかということではないでしょうか?保障内容が入院1日1万円などのがん保険に加入していると、その保障で足りるのだろうかと考える方が多いと思います。
そこで今回は、上記のような不安を感じている方のために、がんの治療費用の実費が全額補償されるがん保険をご紹介します。
一般的ながん保険の保障内容や三大疾病保障保険、実費保障型の医療保険との比較についても解説しますので、実額補償型のがん保険を検討されている方は参考にしていただければと思います。
1.がん治療費用の実費を補償する実額補償型のがん保険
がんの治療費用がどのくらいかかるか不安を感じている方におすすめの商品が、治療費の実額を補償するがん保険です。がん治療費の実費を補償する商品には、「セコム損保の自由診療保険メディコム」や「SBI損保のがん保険自由診療タイプ」などがあります。
今回は、「セコム損保の自由診療保険メディコム」の保障内容をご紹介します。
1)ガン診断保険金
一時金:100万円
がん(悪性新生物や上皮内新生物)と診断確定された時に支払われます。ガン診断保険金の支払回数に制限はありません。ガン診断保険金が支払われることとなった最終の診断確定日から3年経過後であれば、何度でも支払われます。
2)ガン入院保険金(入院日数無制限)
診断確定されたがん(悪性新生物や上皮内新生物)の治療目的で入院した際にかかった治療費用が無制限に補償されます。
治療の種類による回数制限はなく、公的保険診療の場合の一部負担金や自由診療の場合の治療費用、また、先進医療等の費用も補償されます。
但し、差額ベッド代、貸テレビ代・新聞代・特別メニューの食事代等、直接治療に関係しない諸雑費は保障の対象にはなりません。
3)ガン外来保険金(通院日数無制限)
診断確定されたがん(悪性新生物や上皮内新生物)の治療目的で通院した際にかかった治療費用が最大1,000万円(契約更新時(5年ごと)に補償限度額が1,000万円に復元)まで補償されます。
ガン入院保険金と同様に治療の種類による回数制限はなく、公的保険診療の場合の一部負担金や自由診療の場合の治療費用、また、先進医療等の費用も補償されます。
但し、往診による治療や交通費・宿泊費等、直接治療に関係しない諸雑費は保障の対象にはなりません。
先進医療や自由診療は医療費が高額になる可能性が高いですが、高額療養費の対象ではありません。よって、先進医療や自由診療でどれだけ負担が多くなっても青天井で治療費を負担する必要があります。
『医療保険は不要!?高額療養費について理解しておくべきポイント』
『先進医療特約について勘違いが多いポイント』
4)保険期間5年の定期型(更新型)がん保険
保険期間は5年間(90歳まで自動更新)です。定期型(更新型)のため保険料が5年ごとに上がっていくことに注意が必要です。保険期間は終身ではありませんが、90歳まで更新が可能です。
若い時は安く感じる保険料も年齢が上がるごとに高くなり、男性では60代の前半で月額保険料が1万円を超えます。決して安くない保険料を支払い続ける必要があります。
主な年齢での月額保険料は下表の通りです。
加入時の年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
30歳 | 1,430円 | 1,920円 |
40歳 | 1,930円 | 3,550円 |
50歳 | 4,460円 | 5,460円 |
60歳 | 8,310円 | 6,080円 |
70歳 | 15,550円 | 8,190円 |
74歳 | 18,110円 | 9,250円 |
2.一般的ながん保険と実額補償型がん保険との比較
一般的ながん保険と治療費用の実額を補償するがん保険との違いを解説したいと思います。
・定額保障と実額補償
一般的ながん保険の主な保障内容は下表の通りです。
給付金 | 一般的な保障額 | 保障内容 |
---|---|---|
診断給付金 | 100万円 | がんと診断されると一時金が受け取れる。上皮内新生物の場合は給付金額が10分の1となる商品もある。 |
入院給付金 | 1万円/日 | がんの治療のため入院した場合、1日1万円などの定額の給付金が受け取れる。日数は無制限。 |
通院給付金 | 1万円/日 | がんの治療のため通院した場合、1日1万円などの定額の給付金が受け取れる。入院後の通院や日数に制限がある場合などがある。 |
手術給付金 | 20万円/回 | がんの治療のために手術をした場合、1回20万円などの定額の給付金を受け取れる。 |
先進医療特約 | 2,000万円まで | がんの治療のため先進医療を受けると、治療実費が受け取れる。 |
一般的ながん保険は上記のような保障があり、給付金は先進医療特約以外は定額払いです。定額払いですので、治療費がいくらかかったかは関係なく、契約時に設定した給付金額が支払われます。
よって、治療内容によっては、上記保障内容では不足する場合もあるでしょうし、逆に給付金が治療費を超える場合もあります。
給付金が治療費を超える場合には、治療費の保障以外に仕事を休んだ場合の所得補償的な考え方でも使って頂けると思います。
一方、実額補償型のがん保険は、入院でも通院でも治療実費が保障されます。三大治療、自由診療、先進医療など治療の種類を問わず無制限で治療費が補償されます(通院の場合は保険期間中1,000万円まで)。
実額補償型のがん保険は、補償が手厚いですが、高額療養費制度もあるので、自由診療を考えないのであれば、一般的ながん保険でも保障内容は十分といえるでしょう。
・実額補償型がん保険は、通院補償が日数・回数無制限
実額補償型がん保険は、保険期間中1,000万円までですが、通院補償が日数・回数無制限で補償されます。
一方、一般的ながん保険は、通院保障の日数に制限がある場合がほとんどです。
近年では、がんの治療も入院だけでなく、通院での治療も増えていますので、通院の補償が充実している商品を選ぶべきです。
・自由診療の補償(保障)有無
一般的ながん保険は、自由診療に対する特別な保障はありません。先述の通り、定額補償なので、公的医療保険対象の治療でも、自由診療でも、入院や通院1日に対して1万円などの定額の給付金を受け取ることになります。よって、自由診療の場合には、保障が不足する可能性があります。
一方、実額補償型のがん保険は、自由診療の場合でも実費が補償されるので、がんの場合には、公的医療保険対象の治療だけでなく、自由診療も考えたいという方には心強い補償内容となっています。
3.三大疾病保障保険
がんを保障する商品としては、がん保険以外にも三大疾病保障保険があります。
三大疾病保障保険は、三大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞)で保険会社所定の状態になると保険金を生前に受け取れる商品です。
特にがん(悪性新生物)は診断されたら一時金を受け取ることができます。
三大疾病保障保険は、三大疾病以外の病気や事故で亡くなった場合にも保険金が支払われます。
生前に受け取る保険金は非課税。更に保険金の使い道は自由というメリットがあります。但し、一度、保険金が支払われると契約(保障)が終了します。がんの場合、転移の可能性を考えると、不安が残る方もいるでしょう。
また、三大疾病の保障とそれ以外の病気や事故の際の保障もあるので、保険料は一般的な死亡保険に比べて高くなります。
4.治療実費を保障する医療保険
一般的な医療保険は、入院1日1万円等の定額保障ですが、治療実費を保障するタイプの医療保険もあります。がん保険だとがんに保障が制限されますが、医療保険であれば、がん以外の病気やケガも保障されるので安心と思われる方もいらっしゃると思います。
しかし、治療実費を保障する医療保険は、保障額の上限が1ヵ月につき20万円まで等と決まっています。また、例えば、ソニー損保の医療費の実費を補償するタイプの医療保険『ZiPPi』は、保障の対象が公的医療保険対象の入院治療費と限定されています。
よって、公的医療保険対象外の自由診療を受けた場合や通院でがん治療を受けた場合は、保障の対象外となってしまいます。
ソニー損保の『ZiPPi』にも先進医療や入院時差額ベッド代の保障を特約でセットできますが、がんになった場合に自由診療を考えている方には、心許ない保障となっています。
まとめ
がんの治療は、公的医療プラス先進医療で十分という方には、一般的ながん保険に先進医療特約をセットすることで十分でしょう。保険期間は終身で保険料が途中で上がる心配や、満期で保障が終了することを心配する必要がありません。
一方、がんになったら自由診療も選択して治療したいという希望をお持ちであれば、治療費の実額を保障するタイプのがん保険も検討されるといいでしょう。
ただし、実額補償型のがん保険は、定期型(更新型)で年齢が上がると保険料が高くなる点と、補償が終身ではない点には注意が必要です。
ご自分の考え方に合う商品を選択するか、複数の商品を組み合わせてがんに備えることも可能です。
最終更新日:2018年12月16日
No.274