車で子供の通学の送り迎えをしている方から「自動車保険の使用目的は「通勤・通学使用」になるのか?」というご質問を頂きました。
自宅から最寄駅等への家族の送迎は、「通勤・通学使用」になるのでしょうか?それとも「日常・レジャー使用」でいいのでしょうか?
使用目的の設定が誤っていると補償されない場合があったり、保険料をムダに支払うことにつながります。今回の記事を参考に正しい使用目的の設定をして頂ければと思います。
1.自動車保険の使用目的とは?
まず、自動車保険の使用目的について解説します。自動車保険の使用目的には下記の3種類があります。
【使用目的の種類】
①業務使用
②通勤・通学使用
③日常・レジャー使用
上記のうち、「業務使用」の保険料が一番高く、「日常・レジャー使用」の保険料が一番安くなります。
『日常・レジャー使用』 < 『通勤・通学使用』 < 『業務使用』
なお、ソニー損保の使用目的は「主に家庭用」と「主に業務用」の2種類しかなく、通勤・通学に契約車両を使用していても使用目的は「主に家庭用」になります。
2.使用目的の判定基準
それぞれの使用目的の判定基準は下記の通りです。尚、使用目的の判定は記名被保険者(主に車を使用する人)だけではなく、契約車両を使用する全ての方の使用実態を考慮し、決定する必要があります。
1)業務使用
契約の自動車を定期的にかつ継続して※1業務(仕事)に使用している場合、「業務使用」となります。
2)通勤・通学使用
業務使用に該当せず、契約の自動車を定期的にかつ継続して※1通勤・通学に※2使用している場合、「通勤・通学使用」となります。
尚、通学とは、学校教育法またはその他の法律に定める学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・大学・高等専門学校・盲学校・ろう学校・養護学校・専修学校・専門学校等)への登下校をいいます。
保育園(保育所)、介護ケアセンターへの送迎は「通勤・通学使用」とはならず、「日常・レジャー使用」となります。
3)日常・レジャー使用
業務使用、通勤・通学使用に該当しない場合、「日常・レジャー使用」となります。休みの日にドライブに行く場合や、買い物に行く程度の使用であれば、「日常・レジャー使用」に該当します。
※1「定期的にかつ継続して」とは、年間を通じて月15日以上の使用頻度をいう。
※2通勤・通学には最寄り駅等への家族の送迎を含む保険会社と含まない保険会社がある。
よくある質問で、「使用目的を『日常・レジャー使用』で設定していて、たまたま仕事で車を使った場合に事故を起こしたら補償対象外になるのか?」や「使用目的を『通勤・通学使用』で設定していて、たまたまプライベートで車を使った場合に事故を起こしたら補償対象外になるのか?」と聞かれることがあります。
上記質問の場合、どちらも補償の対象となります。
使用目的が正しく設定されていれば、たまたま他の使用目的で車を使用している際に事故を起こしても補償対象となりますのでご安心ください。
3.使用目的設定時の注意点
ご注意頂きたいのが、保険会社によって「通勤・通学使用」の考え方が異なる場合がある点です。
配偶者や子供を自宅から最寄駅等へ送迎する場合が「通勤・通学使用」に該当するか「日常・レジャー使用」に該当するかどうかは、保険会社によって異なる場合があります。
以前は、最寄駅等への家族の送迎も「通勤・通学使用」になっていましたが、自動車保険の改定にともなって最寄駅等への家族の送迎は「通勤・通学使用」に含めず、「日常・レジャー使用」とする保険会社が増えました。
ある保険会社のパンフレットの「通勤・通学使用」の説明は、下記のようになっています。
「業務使用」に該当せず、定期的かつ継続して(1年間を通じて平均して月15日以上、週5日以上)運転者本人が自らの通勤・通学に使用する場合
つまり、運転する人が自らの通勤・通学に使用する場合は、「通勤・通学使用」になりますが、通勤や通学する子供や夫、妻などを最寄りの駅等に送迎する場合には、「通勤・通学使用」には該当しないことになります。
1)最寄駅への家族の送迎が「通勤・通学使用」とならない保険会社
通勤や通学する家族の最寄駅等への送迎を「通勤・通学使用」にしない主な保険会社は下記の通りです。
・東京海上日動
・三井住友海上
・損保ジャパン日本興亜
・あいおいニッセイ同和
・セゾン自動車火災保険 など
2)最寄駅等への家族の送迎が「通勤・通学使用」となる保険会社
通勤や通学する家族の最寄駅等への送迎を「通勤・通学使用」とする主な保険会社は下記の通りです。
・アクサダイレクト
・イーデザイン損保
・三井ダイレクト損保 など
保険会社を変更する際には、保険会社によって使用目的の判定基準が異なる場合がるという点に注意する必要があります。通勤や通学する家族の最寄駅等への送迎に自動車を利用している場合には、ご注意ください。
4.使用目的別の保険料差額
使用目的によって保険料はどの程度違うのでしょうか?実際に保険料を比較すると下記のようになります。
【試算例】
商品:東京海上日動 トータルアシスト
免許色:ブルー
自動車:自家用軽四輪乗用車
等級:14等級
事故有係数適用期間:0年
対人賠償:無制限
対物賠償:無制限
人身傷害保険:3,000万円
車両:100万円 免責0-10万円
年齢条件:26歳以上
記名被保険者年齢:30歳
使用目的:日常・レジャー
年間保険料:70,280円
使用目的:通勤・通学
年間保険料:75,820円
使用目的:業務使用
年間保険料:79,120円
「日常・レジャー使用」と「通勤・通学使用」の保険料は年間で5,000円以上も差額がありますので、適切な使用目的を設定する事は保険料を節約する上でも重要です。
5.使用目的の虚偽申告がばれると・・・
車の使用目的は告知事項と通知事項に該当します(商品によっては告知事項、通知事項に該当しない場合があります)。
保険料を安くするために虚偽の申告をしたり、使用目的の変更を通知しなかった場合は、告知義務違反や通知義務違反となります。
告知義務違反や通知義務違反に該当すると保険契約は解除され保険金が支払われない場合がありますので、ご注意ください。
また、逆に『日常・レジャー使用』でいいところを『通勤・通学使用』で設定してしまうと、ムダに高い保険料を支払うことになってしまうので、その点にもご注意ください。
6.使用目的は保険期間途中での変更が可能
使用目的は保険期間の途中で変更できます。
保険料が高くなる「日常・レジャー使用」から「通勤・通学使用」や「業務使用」への変更だけではなく、保険料が安くなる「通勤・通学使用」や「業務使用」から「日常・レジャー使用」への変更も可能です。
保険料が安くなる場合には、保険期間の残りの期間にもよりますが、基本的に残りの期間分の保険料は返戻されます(一括払いの場合)。
まとめ
車を通勤や通学する家族の最寄駅等への送迎に利用されている方は、「通勤・通学使用」になるか「日常・レジャー使用」になるかで保険料が異なります。まずは、使用目的が適切に設定されているかどうかをご確認ください。
また、使用目的が誤っていると保険料が異なるだけでなく、告知義務違反や通知義務違反となる可能性があります。告知義務違反や通知義務違反に該当すると保険契約は解除され保険金が支払われない場合がありますので、ご注意ください。
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最終更新日:2019年5月16日
No.123