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交通事故の過失割合は誰が決めるのか?

自動車事故を起こすと、過失割合という言葉が多く出てきます。過失割合は、自動車事故の際に賠償額を決める重要な要素です。

過失割合とは、簡単に説明すると事故が発生した際の当事者間の責任(不注意)の割合のことです。その過失割合は誰が決めるのでしょうか?また、いつ決まるのでしょうか?

今回は、事故を起こした際に知っておいて損はない過失割合について解説としたいと思います。

今回の記事を読めば、「過失割合は誰が決めるのか?」「過失割合はいつ決まるのか?」「過失割合が10対0になる事故例とは?」などについて理解することができます。

1.交通事故の過失割合は警察が決める?

自動車事故の過失割合は警察が決めるのですか?」という質問をよく頂きます。

警察が決めると思われてる方が多いかもしれませんが、実は過失割合は警察が決めるものではありません。過失割合は民事上の問題です。民事不介入の原則があるので警察が決める問題ではありません。

通常は事故の当事者双方が契約している保険会社による話し合いによって過失割合を決定します。

 

 

2.過失割合の決め方とは?

それでは、過失割合は何を根拠に決められるのでしょうか?

根拠が無い状態で話し合いで決めるとなると話し合いは恐らくまとまらないでしょう。よって、過去の判例を根拠に過失割合を決定します。

判例で保険会社の事故の担当者が参考にしている代表的なものとして判例タイムズ社の「別冊判例タイムズ38号 (民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版)」があります。

最終的に過失割合を決める際には、実際の事故に類似した過去の裁判例を基準として、実際の事故状況を考慮し、過失割合を修正します。例えば、事故時に携帯で電話をしていた場合、過失割合を+10%するなどと修正を加えます。

 

 

3.過失割合はいつ決まる?

交通事故の過失割合はいつ決まるのか?」という質問もよくいただきます。

交通事故の過失割合は、いつまでに決まるという明確な期間はありません。事故の状況などによって、過失割合が決まる時期は異なります。

事故の当事者同士が、お互いの主張を譲り合わなければ、過失割合が決まるまでに時間がかかります。一方、赤信号で停車している車に追突した場合などは、追突した方に100%の過失が発生することが明白なので、事故後すぐに過失割が10対0などと決まることがあります。

過失割合で大事なことは、事故の当事者間で過失割合を決めて示談しないことです。過失割合が正当でない場合、保険会社がその割合で保険金を支払わない場合もあります。事故の際の示談交渉は、保険会社の事故担当者に任せる方が間違いありません。

 

 

4.交通事故の過失割合事例

代表的な交通事故(四輪車同士)の過失割合事例は下記の通りです。

なお、事故が発生した際には、個々の事故状況を考慮したうえで過失割合を修正しますので、実際に決定した過失割合と下記の基本過失割合が異なる場合があります。

過失割合事例①
信号のある交差点で直進車Aと右折車Bがお互い青信号で衝突した場合の過失割合
A車の過失割合20%:B車の過失割合80%

過失割合事例②
駐車場などの敷地から左折で道路に出たA車と道路を走行中のB車が衝突した場合の過失割合
A車の過失割合80%:B車の過失割合20%

過失割合事例②
右折するA車と対向左折するB車が同一方向に走行し衝突した場合の過失割合
A車の過失割合70%:B車の過失割合30%

 

 

5.過失割合が10対0(100対0)になる事例

事故の際に自分の車も相手の車も動いている場合で、自分の過失はゼロだと主張する方がいますが、通常、動いている車同士の事故の場合、どちらかの過失がゼロということは稀です。

どちらかの過失がゼロとなる10対0(100対0)の代表的な事故例は下記の通りです。

過失割合が10対0(100対0)となる事故例とは?

センターラインをオーバーして接触・衝突した場合
センターラインをオーバーして接触・追突した側に100%の過失が発生します。

赤信号等で停車中の車に後ろから追突した場合
後ろから追突した車に100%の過失が発生します。

上記は代表的な事例であり、個別の状況によっては、100:0にならない場合もあります。過失割合が100:0の事故については、下記記事をご参照ください。
自動車保険で過失割合が100対0(10対0)となる交通事故とは?

実は、上記のような相手に過失が100%あるような事故の被害者になった場合で、相手側が損害賠償に応じない場合等の示談交渉は保険会社は行えないのでご注意ください。

保険会社が事故の相手と示談交渉を行えない場合の詳細については、下記記事をご参照ください。
示談交渉サービスが受けられない4つのパターン

保険会社が示談交渉を行えない相手に100%過失があるもらい事故の際に役立つのが、弁護士費用特約です。弁護士費用特約は自動車保険にセットすべき特約の1つです。弁護士費用特約の詳細については、下記記事をご参照下さい。
弁護士費用特約の補償内容は保険会社によって異なる!?
自動車保険の必要性が高い特約とは?|プロおすすめの5特約

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6.過失相殺とは?

上記の通り、どちらかの過失がゼロということは少なく交通事故の被害者側にも過失がある場合もあります。

お互いに過失(不注意)がある場合は、加害者に全ての損害を賠償させるのは公平ではないという考えで、被害者側の過失割合によって賠償額が減額されます。これを過失相殺といいます。

過失相殺例
・被害者の損害額 :100万
・被害者の過失割合: 30%

加害者の賠償額:100万×(1-30%)=70万円

民法の第722条2項に「過失相殺」の規程があります。

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

 

 

まとめ

過失割合は事故の際には加害者だろうと被害者だろうと、必ず耳にする言葉です。重要な言葉なので理解していて損はありませんので、頭の片隅に置いておいて頂ければと思います。

なお、過失割合に関しては、事故の当事者間で決めてしまうと、その過失割合が正当でなかった場合、その割合で保険会社は保険金を支払わない場合があります。事故現場等で安易に事故相手と示談や口約束するのは避け、必ず保険会社に相談するようにしてください。

最終更新日:2018年12月21日
No.11