60代、70代の方で「自分くらいの年になったらガンになる確率は下がるから、がん保険を解約する」と言われる方がいらしゃいます。本当に60代や70代の方はがんになる確率が下がり、がん保険が不要となるのでしょうか?
今回は、がん発生のメカニズムをご紹介し、年齢によるがん保険の必要性について確認してみたいと思います。60代、70代の方で、がん保険を継続するか迷っている方や、新たにがん保険への加入を検討している方は、今回の記事を参考にしていただければと思います。
1.がん発生のメカニズム
人体は60兆個もの細胞から構成されています。毎日8000億個の細胞が細胞分裂をし、細胞の入替を行っています。その過程でミスが起こりがんが発生します。
最近の研究では、がん細胞は健康な人の体でも1日に5000個も発生していることが分かっています。しかし、がん細胞が発生する度に免疫細胞が退治しています。
年齢を重ねると、細胞分裂によりがん細胞の発生が増える一方、免疫細胞も機能が低下します。免疫細胞が退治できなかったがん細胞は何年もかけて分裂を繰り返し、増殖していくことになります。そのため高齢になるほどがんになる危険性が増します。
上記のように年を重ねる程にがんになる確立が上がっていきます。ご高齢の方にもがん保険は大切なものだといえます。むしろ高齢の方ほど、がん保険が必要だともいえます。
2.年齢によるがんの罹患率
下図は独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターのデータですが、男性と女性とでがんに罹患する率が異なります。
1)男性の年齢によるがん罹患率
男性は40歳代までは女性よりがんの罹患率(りかんりつ)が低いですが、50歳を超えると女性の罹患率を超え、年齢が高くなるほど上昇します。60歳代では女性に比べて顕著に高くなります。高齢になるほど、がんの罹患率は高くなります。
2)女性の年齢によるがん罹患率
女性は、30歳代後半から40歳代まで男性よりやや高い状態です。この年代では、乳がんや子宮頸がん等の女性特有のがん罹患率が高くなっています。女性のがん患者数は30代では男性の約3.3倍、40代では男性の約2.8倍となっています。
「乳がん」は30歳代後半から急激に増え、40歳代後半でピークになります。また、「子宮頸がん」は20歳代後半から急激に増え、30~40歳代でピークになります。フリーアナウンサーの小林麻央さんやタレントの北斗晶さんの例からも分かる通り、女性の場合は若い方でもがんへの備えが重要となります。
男性ほど顕著ではありませんが、女性も年齢が高くなるほど、がんになる確率は高くなります。
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3.60代、70代の方にもがん保険の必要性は高い!
上記のがん発生のメカニズムを確認していただくとわかる通り、60代や70代の方にとって、がん保険の必要性が高いのは間違いありません。
よって、60代や70代になったからといって加入しているがん保険を解約することはおすすめできません。むしろ高齢になればよりがん保険の必要性は高くなります。
4.60代や70代になってからがん保険を検討する場合の注意点
上記の通り、既に終身保障のがん保険に加入している方が60代や70代になったからといって、がん保険を解約するということは、おすすめしません。
しかし、がん保険に加入していなかった方が、60代や70代になってから新たに加入するという際には、注意が必要です。
がんは、高齢になるほど罹患する可能性が上がる病気ですので、がんになるリスクが高い分、がん保険の保険料も年齢が上がるほど高くなります。
診断給付金:100万円
入院給付金:1万円
通院給付金:1万円
手術治療給付金:20万円
放射線治療給付金:20万円
抗がん剤治療給付金:10万円
被保険者:男性(75歳)
月額保険料:18,960円
被保険者:男性(30歳)
月額保険料:2,870円
上記契約例の通り、75歳男性の月額保険料は、30歳男性の月額保険料の約6.6倍にもなります。
60代や70代の方の多くは、引退し年金生活をされていると思います。年金生活者は、病気になっても現役世代の方のように収入が減るわけではありません。
また、高額療養費制度があり、医療費を抑える仕組みもありますので、年間で227,520円(18,960円×12ヶ月)もの保険料を支払うのであれば、その額を病気に備えて貯蓄しておくという考え方もあります。
『医療保険は不要!?高額療養費について理解しておくべきポイント』
上記のような内容を踏まえて、60代や70代の方は、がん保険への加入を検討して頂ければと思います。また、医療保険を検討する際にも同じことがいえます。
『60代、70代の方に医療保険は必要か?』
まとめ
ご覧の通り、がんは若い人ほど罹患する確率が低く、年齢が上がるほど高くなります。よって、がん保険は年齢が高いからといって不要になるわけではなく、高齢の方ほどがんへの備えが重要になるといえるので、加入しているがん保険を解約することは得策とはいえません。
しかし、高齢になってからがん保険に加入する際には、負担する保険料の大きさを考慮し、本当に加入する必要があるかを検討して頂ければと思います。
最終更新日:2018年10月12日
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