「バイクの盗難を補償する保険はあるのか?」というご質問を頂きました。
自動車保険の車両保険で盗難が補償されるのは当たり前ではないかと思っている方もいらっしゃると思います。ご存知ない方も多いと思いますが、実は、バイク保険の車両保険は盗難については、ほとんどの保険会社が補償対象外です。
今回は、バイク保険の盗難補償について解説します。また、バイクの盗難に備える方法についてもご紹介します。バイクの盗難を心配されている方は参考にして頂ければと思います。
1.バイク保険とは?
「バイク保険」と「自動車保険」の2つの言葉が出てきて混乱される方もいると思いますので、まずは用語の説明をしておきます。
そもそも「バイク保険」とは用途車種※が二輪自動車や原動機付自転車である「自動車保険」のことで、「バイク保険」という商品が「自動車保険」とは別にあるわけではありません。要するに用途車種が二輪自動車や原動機付自転車の「自動車保険」を「バイク保険」と呼んでいます。
用途車種の区分は、登録番号標または車両番号標(自動車のナンバープレート)の分類番号や色などの情報を基に決定されます(自動車検査証(車検証)等に記載の「用途」、「自動車の種類」とは異なる場合があります)。
2.バイク保険は盗難が補償対象外
自動車保険の車両保険には盗難の補償がありますが、実は多くの保険会社のバイク保険の車両保険には盗難の補償がありません。
例えば、損保ジャパン日本興亜の自動車保険「SPG」のパンフレットでは、二輪自動車・原動機付自転車の盗難は補償対象外となっています。
これは損保ジャパン日本興亜に限ったことではなく、他の大手損保各社とも同様です。例えば、下記の保険会社は、二輪自動車・原動機付自転車の盗難は車両保険では補償対象外です。
・東京海上日動
・損保ジャパン日本興亜
・三井住友海上
・あいおいニッセイ同和
それでは、通販(ダイレクト)型の自動車保険(バイク保険)はどうでしょうか?調べた結果は下記の通りです。
●アクサダイレクト
二輪自動車・原動機付自転車に車両保険の付帯不可。
●チューリッヒ
車両保険は、他の車(原動機付自転車を含む)との衝突・接触事故が起きた場合にのみ補償される「車対車事故のみカバー型」のみで、単独事故等の損害は補償されない。盗難時の補償は、臨時費用特約の5万円のみ。
●三井ダイレクト
バイク保険での車両保険取扱いなし。
●ソニー損保
バイク保険の取り扱いなし。
●セゾン自動車火災
バイク保険の取り扱いなし。
通販各社はそもそもバイク保険の車両保険は引き受けをしていない会社が多く、バイク保険の取り扱い自体がない保険会社もあります。
3.バイクの盗難を補償する盗難保険を比較
それではバイクの盗難を補償する保険はないのでしょうか?実は、レッドバロン等が盗難を補償する保険を販売しています。
●レッドバロン【盗難保険】
保険金額:
新規購入の場合、店頭販売価格の100%
上記以外の場合、査定販売価格の90%
自己負担額:なし
保険料:保険金額(補償額)の1%(100万円のバイクだと年間保険料は1万円)
盗難時にレッドバロンの販売・レンタルする盗難防止装置を装着していることが条件。
●Zutto Ride Club【盗難保険プラン】
保険金額:5万円~300万円
自己負担額:5%
年間保険料:34,100円(保険金額100万円の場合)
バイク本体の盗難だけでなく、パーツ(マフラーやサスペンション等)の盗難も最大20万円まで補償、カギ穴のいたずらも最大5万円まで補償。
上記2つの盗難保険は、盗難に特化した商品で、車両保険のように事故等による車両損害は補償されませんので、ご注意ください。
●みんなのバイク保険
日本少額短期保険の盗難と車両破損(全損・半損)に補償を絞った商品です。新車、中古車にかかわらず加入可能です。初度登録からの経過年数にかかわらず購入金額が補償されます。
みんなのバイク保険は、バイク保険とネーミングされていますが、車両破損と盗難に補償を絞った商品です。一般的なバイク保険のように対人賠償や対物賠償等の補償はありません。よって、対人・対物事故に備えるのであれば、一般的なバイク保険とセットで加入する必要があります。
4.盗難も補償されるバイク保険がある!?
上記の通り、多くの保険会社のバイク保険の車両保険では、盗難が補償対象外ですが、平成26年10月からバイクの盗難が補償される日新火災の「おとなのためのバイク保険(盗難補償付)」が発売されています。
バイク保険で盗難を補償するのは業界初です。「おとなのためのバイク保険(盗難補償付)」の概要は下記の通りです。
・記名被保険者(主に運転する人)が個人のノンフリート契約
・対人・対物賠償責任保険をセットした契約
・運転者年齢条件が35歳以上の契約
・保険期間が1年以内の契約
・用途車種が自家用自動二輪車(総排気量が125cc超)
・「ホンダ」、「カワサキ」、「ヤマハ」、「スズキ」、「BMW」、「ハーレーダビッドソン」、「ドゥカティ」のバイク(一部の型式については、対象にならない場合あり)
契約条件は少し厳しいようにも思えます。
35歳以上補償の契約が対象なので、若い方では契約できませんし、保険に加入できるバイクメーカーも限定されています。
ただし、以前は「イモビライザーが標準装備されている二輪車」という加入条件がありしたが、その点は条件が緩和されたようです。
バイクは盗難されやすいので、契約条件を絞ってリスクを限定しておく必要があるのでしょう。
また、どんな状態でも盗難に遭えば補償されるわけではなく、補償される条件があります。補償される条件は、エンジンキー及びホイールロックのいずれも施錠されている状態での盗難です。パーツのみの盗難や盗難未遂での破損は補償の対象にはなりません。
「おとなのためのバイク保険(盗難補償付)」の盗難補償(二輪自動車に関する盗難危険補償特約)は自動でセットされていますが、その他の転倒等による車両損害を補償する車両保険についてはオプション扱いです。つまり、車両保険を付帯しないと盗難以外の車両損害は補償対象外です、また、盗難の補償については、自己負担額が5万円となっていますので、ご注意ください。
5.おすすめのバイク盗難保険は?
バイクの盗難を心配されている方は多いと思います。バイク保険とは別で盗難保険に加入するのは面倒な面があるので、「おとなのためのバイク保険(盗難補償付)」のようにバイク保険で盗難も補償されると手続きが1回で済み、便利ではあります。
しかし、加入できるバイクメーカーにも制限があるなど、加入の条件が少し厳しい面が残念なところです。
メーカーや車種を問わないという点では、「Zutto Ride Club【盗難保険プラン】」がおすすめです。
また、「おとなのためのバイク保険(盗難補償付)」はパーツのみの盗難や盗難未遂での破損は補償対象外ですが、「Zutto Ride Club【盗難保険プラン】」はパーツのみの盗難やカギ穴のいたずらも補償対象となります。
6.バイクの車両保険は高い!?
盗難を補償対象外としてもバイクの車両事故はリスクが高いように思えます。リスクが高いとうことは、保険料も高くなるということです。
実際にどの程度高いのかを軽自動車と二輪自動車で保険料比較をしてみました。
【試算条件】
商品:東京海上日動 TAP
等級:14等級
事故有等級適用期間:0年
対人賠償:無制限
対物賠償:無制限
人身傷害保険:3,000万円
車両:一般条件100万円 免責5-5万円
年齢条件:26歳以上
被保険者年齢:35歳
■軽自動車
用途車種:自家用軽四輪乗用車
年間保険料:63,400円
■バイク
用途車種:二輪自動車
年間保険料:74,980円
バイク保険は盗難が補償対象外でも転倒等による車両損害のリスクが高いため、上記の試算条件では軽自動車より1万円以上、保険料が高くなっています。
尚、バイク保険の車両保険の補償内容については下記記事で詳細に解説していますので、ご参照ください。
『バイク保険の車両保険は補償範囲に注意が必要』
まとめ
ほとんどの保険会社のバイク保険では、車両保険をセットしても盗難については補償対象外になるという点にご注意ください。
実は、私も大型バイクを盗難された経験があるのですが、中途半端な盗難対策では全く役に立ちません。盗難時には、ロックを4つしていましたが、簡単に持っていかれました。相手は盗難のプロですので、どれだけ盗難対策をしても絶対安全とは言い切れません。
そういう意味で、特に盗難に遭いやすいバイクを所有している方は、バイクの盗難が補償される保険に加入することをおすすめします。
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最終更新日:2018年4月9日
No.124