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「平均寿命」「平均余命」「健康寿命」の違いとは?

テレビや新聞などの報道で、日本人の平均寿命が過去最高を更新したという話題を聞かれたことがある方は多いと思います。

新聞やテレビ等の報道では、「平均寿命」という言葉を耳にすることが多いと思いますが、保険の説明を聞いている中で「平均寿命」以外に「平均余命」や「健康寿命」という言葉を聞いたことはないでしょうか?

「平均寿命」、「平均余命」、「健康寿命」は何が違うのでしょうか?老後に備えるための指標となる「平均寿命」と「平均余命」の違いを解説します。また、最近話題の「健康寿命」についてもご紹介します。

1.平均寿命とは?

死亡率が今後も変わらないと仮定して、0歳児が平均してあと何年生きられるかを平均寿命といいます。つまり、0歳児の平均余命が平均寿命になります。

厚生労働省の平成27年簡易生命表によると、女性の平均寿命が87.14歳、男性の平均寿命が80.98歳でいずれも過去最高を更新しました。前年と比較して男性は0.23年、女性は0.15 年高くなりました。

平均寿命の男女差は、6.16歳です。国別にみると、日本は男女とも世界のトップクラスです。尚、厚生労働省は「医療技術の進歩などで平均寿命はまだ延びる余地がある」とみています。

 

 

 

2.平均余命とは?

各年齢の人が平均してあと何年生きられるかの期待値を平均余命といいます。厚生労働省の「平成28年簡易生命表」は下表の通りです。

主な年齢の平均余命(単位:年)

年齢 男性
平成28年 平成27年 前年との差
0歳 80.98 80.75 0.23
5歳 77.20 75.98 0.22
10歳 71.23 71.02 0.21
15歳 66.26 66.05 0.21
20歳 61.34 61.13 021
25歳 56.46 56.28 0.21
30歳 51.63 51.43 0.20
35歳 46.78 46.58 0.20
40歳 41.96 41.77 0.19
45歳 37.20 37.01 0.19
50歳 32.54 32.36 0.18
55歳 28.02 27.85 0.17
60歳 23.67 23.51 0.16
65歳 19.55 19.41 0.14
70歳 15.72 15.59 0.13
75歳 12.14 12.03 0.11
80歳 8.92 8.83 0.09
85歳 6.27 6.22 0.05
90歳 4.28 4.27 0.01

 

年齢 女性
平成28年 平成27年 前年との差
0歳 87.14 86.99 0.15
5歳 82.37 82.20 0.17
10歳 77.39 77.23 0.16
15歳 72.42 72.26 0.16
20歳 67.46 67.31 0.15
25歳 62.53 62.37 0.16
30歳 57.61 57.45 0.16
35歳 52.69 52.55 0.14
40歳 47.82 47.67 0.15
45歳 42.98 42.83 0.15
50歳 38.21 38.07 0.14
55歳 33.53 33.38 0.14
60歳 28.91 28.77 0.14
65歳 24.38 24.24 0.14
70歳 19.98 19.85 0.13
75歳 15.76 15.64 0.12
80歳 11.82 11.71 0.11
85歳 8.39 8.30 0.09
90歳 5.62 5.56 0.06

 

平均寿命と平均余命の違いとは?

平均余命は各年齢の人が平均してあと何年生きられるかの期待値で、平均寿命は0歳時の平均余命です。

平均寿命と平均余命の違いは、下記具体例を見ればわかると思います。

例えば60歳男性の平均余命は、23.67年です。年齢の60歳に平均余命の23.67年を足すと、83.67歳となり、平均寿命の80.98歳と比べて長くなります。どの年齢でも平均寿命に比べて平均余命の方が長くなることが分かります。

よって、老後の備え考えるうえでは、平均寿命ではなく、平均余命を参考に年金等の準備を考える必要があります。

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3.健康寿命とは?

最近、平均寿命や平均余命の他に「健康寿命」という言葉も注目されています。

「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間とされています。寿命が延びて長生きになることは素晴らしいことではありますが、寿命まで健康でいられるという保証はありません。

 

平均寿命と健康寿命の差が意味すること

平均寿命と健康寿命の間には10歳前後の差(2013年において、この差は男性9.02年、女性12.40年)があります。

平均寿命と健康寿命の差の10年前後は不健康で日常生活に制限がある期間になるので、医療費や介護費の問題が発生する可能性があるということになります。

この差の期間を公的保障(公的医療保険、公的介護保険)を含め、民間の保険などを活用し、どのように備えるかが重要となります。

 

 

 

4.医療費の問題

上記の健康寿命と平均寿命との差が広がると、医療費は増えていくことになります。高齢者が増えていることと、医療技術の進歩により、医療費は高騰しています。実際に2015年度の国民医療費は42兆3644億円です。年1兆円のペースで伸び続けています。

今後は、健康で長生きできるようにすることが重要で、病気にならないための予防も大切になります。

 

 

 

5.保険などを活用した自助努力が必要

病気にならないための予防は大切なのですが、どんなに予防しても老化に伴い、何らかの病気になるリスクは高まります。

今後、日本全体で考えると、平均寿命が延びて高齢化が進む場合、医療費高騰の問題は避けては通れない問題になります。現状の社会保険制度が維持できるのかも心配になってきます。

少子高齢化がこのまま進行すると、年金制度や公的医療保険制度の負担(保険料)は上がり、逆に給付は下がっていく可能性があります。

健康維持に対する考え方も重要ですが、同時に何かあった時のための備えもまた重要になってきます。健康面で問題が発生した時の備えの1つが保険への加入です。

今後は自助努力の1つである保険での備え如何で受けられる医療の質が変わってくる可能性があります。

 

医療費用、介護費用の備えは保険だけでは不十分

なお、長い老後に備え、医療費用、介護費用の備えを全て保険で準備できると考える方がいますが、それは危険な考え方です。

保険に加入していても全ての病気やケガ、介護状態に対応できるわけではありません。

よって、保険に頼り過ぎず、貯蓄や資産運用などで、保険を補完できるようにしておくことも必要です。

 

 

 

まとめ

平均寿命だけでなく、平均余命や健康寿命等の指標にも注目し、老後の生活費や医療費用、介護費用等を貯蓄や保険等を利用してどのように準備するかを考えて頂けばと思います。

平均寿命が延び、高齢化が進むと、現状の社会保険制度が維持できない可能性があります。例えば、『医療保険は必要?不要?』でご紹介しましたが、現状の社会保険制度を考慮すれば、必要性が低いと思われる保障も今後は、必要性が高くなる可能性もあります。

生命保険や医療保険等を見直す場合には、今後の社会保険制度の変遷についても注目し、考慮する必要があるでしょう。

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最終更新日:2019年5月11日
No.197