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車両価額協定保険特約とは?車両保険金額設定の重要性を解説

一般の方で自動車保険の「車両価額協定保険特約」をご存知の方は少ないでしょう。しかし、車両価額協定保険特約は非常に重要な特約で、車両保険にセットされていなければ、事故の際、契約時に設定した車両保険金額が支払われない可能性があります。

今回は、自動車保険(車両保険)の重要な特約である「車両価額協定特約」の内容と、車両保険金額設定の重要性について解説します。

今回の記事を読めば、車両保険金額設定の重要性を理解し、適切な車両保険金額設定をして頂くことができます。

1.車両価額協定保険特約とは?

車両価額協定保険特約」とは、一般的に車両保険に自動的に付帯(セット)されている特約です。契約締結時に契約者と保険会社との間で、自動車の価格を車両保険金額として協定する特約です。

具体的には、保険会社が別に定める「自動車保険車両標準価格表」等に従い、契約締結時における契約自動車と同一の用途・車種、車名、型式、仕様および初度登録年月または初度検査年月の自動車の市場販売価格相当額を契約車両の価額として協定します。

簡単に説明すると、契約者と保険会社が自動車保険契約時に定めた車両価格を車両保険の補償額(保険金額)と定め、仮に保険期間中に車両の価値が下がっていても車両保険金額を下げないという特約です。

自動車の保険価額は保険期間中においても、減価が著しく、また同じ車種の自動車でも使用状態により評価額が大きく異なることがあります。

保険価額を協定することにより、保険期間中の経年減価に関わらず、全損の場合は保険金額全額を、分損の場合は保険金額を限度に保険金を保険会社は支払います。

 

 

 

2.車両価額協定保険特約がないと、車両保険の補償はどうなる?

「車両価額協定保険特約」がないと、車両保険の補償がどうなるかというと、契約時に適正な時価額で車両保険の保険金額を設定しても事故時に時価額が下がっていると、保険金額が満額支払われないことになります。

具体的には、保険価額(時価額)が契約時に300万円だった車が、事故発生時に保険価額(時価額)が200万円となっていた場合には、支払われる保険金は200万円が限度となります。

仮に時価額が200万円に下がった時に全損事故を起こすと、契約時に設定した車両保険金額が300万円でも受け取れる保険金は200万円ということになってしまいます。

車両価額協定保険特約を付帯(セット)していない場合

「車両価額協定特約」がセットされていれば、契約時に時価額が300万円だった車が保険期間中に時価額200万円に下がったとしても協定した保険金額300万円まで保険金が支払われます。

なお、車両保険金額が協定されるのは1年間です。車両価額は、契約が更新される度に減価されて、協定し直すことになります。車両保険で設定できる保険金額(補償額)は、1年で10%程度ずつ下がっていきます。

自動車保険の保険期間が1年を超える契約の場合でも、下記のように1年毎に車両保険金額は協定されています。

長期自動車保険の車両保険金額の協定例

1年目:100万円
2年目:90万円
3年目:80万円

 

 

 

3.損保各社の車両保険金額の協定方法

車両価額の協定については、全ての保険会社が一様ではなく、異なる点があります。大手3社の車両価額の協定については、下記の通りになります。

〇損保ジャパン日本興亜
損保ジャパン日本興亜の車両保険には、「車両価額協定保険特約」はありません。契約の自動車の契約時における市場販売価格相当額を車両保険金額として定めることで、事故時の時価額にかかわらず、車両保険金額を限度に保険金を支払う協定保険価額方式となっています。

〇三井住友海上
2015年9月30日までの契約は自家用8車種以外の車両保険付き契約は「車両価額協定保険特約」が任意セットですが、2015年10月1日の改定で全ての契約に自動付帯となっています。

但し、「GK クルマの保険・一般用」については、自家用8車種以外又はレンタカーの契約には、車両価額協定保険特約を不適用とする「車両価額協定保険特約の不適用に関する特約」があります。

〇東京海上日動
東京海上日動は契約車両がレンタカー以外の場合、「車両価額協定保険特約」が自動セットされます。

 

 

 

4.車両保険金額設定の重要性

自動車保険に加入する際の車両保険金額の設定は非常に重要です。車両保険の補償は車両保険金額が上限になるためです。

車両保険金額の設定が低い場合は十分な補償が受けられません。修理費が契約時に設定した車両保険金額を超えた場合には、経済的全損となり、修理費は満額補償されません。
修理可能でも自動車保険(車両保険)では全損?

新車の場合には分かりやすい車両保険の保険金額設定ですが、中古で車を購入する場合には、車によってコンディションが大きく異なることがあるので、購入した金額に対して、車両保険で設定できる金額に開きがある場合があります。

例えば、車両保険の保険金額として設定できるのは、保険会社が別に定める「自動車保険車両標準価格表(車価表)」等に記載された価格となりますが、その価格より高い値段で中古車を購入するケースもあるでしょう。

そのような場合には保険会社に相談してみてください。設定できる車両保険金額を引き上げられる可能性もゼロではありません。
車両保険の保険金額(補償額)の設定方法や目安とは?

特に自動車ローンを組んで車を買った場合いは、全損となると次の車を購入する費用が必要となります。設定している車両保険金額が低いと買い替えの費用が足りず、ダブルローンを抱えることになってしまいます。

 

 

 

まとめ

契約時に車両価額の協定をしていないと、事故の際に十分な車両保険の補償がない可能性がありますが、基本的には、契約者が意識していなくても車両価格は協定される仕組みになっています。

ただし、契約内容や用途・車種によっては車両価格が協定されていない場合もありますので、ご注意ください。

また、車両保険金額の設定は重要ですので、きっちりと行うようにして頂ければと思います。

最終更新日:2019年4月17日
No.94