医療保険を選ぶ際にはどのようなポイントに注目すべきでしょうか。医療保険は保険会社各社から発売されていて、どの商品に加入すべきか、また、どのような保障内容にすべきかなど、下記のような疑問点を持たれている方も多いと思います。
・入院給付金の日額はいくらにすべきか?
・通院の保障は必要か?
・先進医療特約はセットすべきか?
・おすすめの医療保険は? など
医療保険を比較する際や、選ぶ際に注目すべきポイントについて解説します。
1.入院給付金の日額は、5000円?1万円?
医療保険を検討する際にまず考えるのが、入院給付金の日額をどのくらいにするかということではないでしょうか?
入院すると、1日5,000円受け取れるタイプにするのか、それとも1万円を受け取れるタイプにするのか?迷う方も多いと思います。受け取れる給付金額が多いにこしたことはありませんが、保障を上げれば当然のことながら保険料も高くなります。
入院給付金は日額3,000円から2万円程度まで選べますが、一般的には日額5,000円程度あれば、十分でしょう。その理由は、日本には充実した公的医療保険制度があるからです。
仮に入院して医療費が高額になったとしても高額療養費制度があり、負担の上限が決まっています。よって、必要以上に入院給付金日額を高くする必要はありません。
『医療保険は不要!?高額療養費について理解しておくべきポイント』
ただし、差額ベット代や入院時の食事代など、高額療養費制度の対象とならない費用もあります。特に入院した場合には、個室に入りたいという希望がある方は、入院給付金日額1万円など、必要に合わせて入院給付金日額を上げるといいでしょう。
『差額ベット代の意味を正しく理解していますか?』
2.入院給付金の支払限度日数は、60日型?120日型?
入院給付金には、1入院で受け取れる日数に限度日数が設定されています。入院給付金の限度日数には、60日型や120日型がありますが、入院給付金の支払限度日数は、長い方がいいのでしょうか?
多くの方がご存知だと思いますが、現在は長期入院は減り、入院は短期化している状況になっています。よって、入院給付金の支払限度日数は、60日型で充分でしょう。
ただし、三大疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞)などは、入院が長期化する可能性もあります。そのような場合に備えて、三大疾病になった場合などに入院給付金の支払限度日数が無制限になる特約がある医療保険が増えています。入院が長期化するような病気に備えては、そのような特約をセットしておくといいでしょう。
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3.先進医療特約は必要か?
最近、話題の先進医療ですが、先進医療特約は、セットしておいた方がいいのでしょうか?
先進医療特約の保険料は、月額100円程度です。保険料が安いということは、給付金を受け取れる可能性が低いともいえます。しかし、月額100円程度で、数百万円の先進医療費用が保障されるのであれば、セットしておいても損はないでしょう。
『先進医療特約とは?勘違いが多いポイント』
なお、先進医療特約は、保険期間10年の更新型としている保険会社と終身型としている保険会社があります。更新型の場合、更新時に特約保険料が上がる可能性がありますので、ご注意ください。
『先進医療特約は終身?10年更新?』
4.通院保障は必要か?
医療保険の中には、通院の保障がある商品があります。医療保険に通院保障は必要でしょうか?
通院保障と聞くと、通院すれば必ず給付金が受け取れると勘違いされる方がいますが、そういうわけではありません。通院給付金を受け取るには、入院が条件で、入院前後の通院を保障するという商品が一般的です。
つまり、カゼで内科の診療所に通院したというような場合には、通院給付金は支払われません。
通院保障を付ければ当然、保険料は高くなりますので、その保険料と保障内容とを比較して、通院保障が必要だと感じるのであれば、検討するといいでしょう。
・通院ありプラン
保険期間:終身
保険料払込期間:終身
被保険者:35歳男性
入院給付金日額:5,000円(60日型)
通院給付金日額:5,000円
月額保険料:2,120円
・通院なしプラン
保険期間:終身
保険料払込期間:終身
被保険者:35歳男性
入院給付金日額:5,000円(60日型)
月額保険料:1,615円
5.女性疾病特約は必要か?
女性特有の病気を保障する女性疾病特約は必要なのでしょうか?
医療保険には「レディース●●」や「女性のための●●」などの商品名で、女性専用の医療保険がある場合があります。
多くの方が勘違いされていますが、女性疾病特約をセットしないと女性特有の病気が保障されないということはありません。女性特有の病気も一般的な医療保険で保障されます。
女性疾病特約をセットすると、女性特有の病気の際に入院給付金などが上乗せされる仕組みになっています。
つまり、女性特有の病気だからといって特に治療費が高くなるわけではないのであれば、特に女性疾病特約をセットする必要性は低いといえます。
ただし、アフラックのがん保険などは、女性疾病特約の保障に乳房再建の費用がでる保障があったりするので、保障内容を確認し、必要性が高いと判断すれば、セットを検討するといいでしょう。
『医療保険に女性疾病特約は必要か?』
6.「定期型」か?「終身型」か?
医療保険に加入する際に一定期間を保障する「定期型」にするか、保障が一生涯継続する「終身型」にするかも重要なポイントです。
一般的な医療保険は終身保障で一生涯保障が継続します。保険料も途中で上がることはないので、安心と考えることができます。
一方、定期型の医療保険の場合、保障は10年などの一定期間しかありません。満期がくれば、一定年齢まで更新できますが、更新時には保険料が上がるのが一般的です。
終身型は保険料が上がることはない、定期型は保険料が上がる可能性があると考えると、終身型の方がいいように思えますが、定期型にもメリットがあります。
定期型の場合、終身型に比べて、同じ保障内容で保険料が安くなります。医療保険も生命保険と同じように見直しを前提に加入するのであれば、なるべく安い保険料で医療保険に加入し、その後、見直す(加入している医療保険を解約し、新しい医療保険に加入し直す)という方が合理的です。
医療の技術は年々進歩しています。その医療技術に合わせて、医療保険の保障内容も変わってきていますので、医療保険も見直しを前提に加入するのであれば、定期型に加入するという選択肢もあります。
7.保険料は、「短期払い」か?「終身払い」か?
終身型の医療保険の場合、保険料を一生涯払い続ける「終身払い」と60歳や65歳までで保険料を払い終える「短期払い」を選択できます。
「終身払い」の場合、「短期払い」に比べると1回あたりの保険料は安いですが、一生涯保険料を払い続ける必要があります。
一方、「短期払い」の場合、1回あたりの保険料は「終身払い」に比べて高いですが、60歳や65歳で保険料は払い終わり、その後の保障は一生涯継続するという安心感があります。
どちらも一長一短あるのですが、医療保険も見直しが必要と考えるのであれば、いつ解約するか分からないので、1回あたりの保険料が少しでも安い「終身払い」が選択肢となります。
・通院ありプラン(終身払い)
保険期間:終身
保険料払込期間:終身
被保険者:35歳男性
入院給付金日額:5,000円(60日型)
通院給付金日額:5,000円
月額保険料:2,120円
・通院ありプラン(短期払い)
保険期間:終身
保険料払込期間:60歳払済
被保険者:35歳男性
入院給付金日額:5,000円(60日型)
通院給付金日額:5,000円
月額保険料:3,995円
60歳払済は、60歳以降に保険料の支払いがないという安心感は確かにあります。しかし、上記契約例で終身払いの保険料が短期払いの保険料を逆転するのは、88歳以降です。35歳から88歳まで医療保険を見直さないということであれば、60歳払済を選択してもいいですが、実際その可能性は低いのではないでしょうか?
8.「貯蓄型」か?「掛け捨て型」か?
医療保険に関しても掛け捨てを嫌う方がいらっしゃいますが、健康祝い金のある医療保険は、ムダといっていいでしょう。
給付金を請求することがないと、数年に1回受け取れる健康祝い金は、保険会社からプレゼントされるものではありません。結局、健康祝い金の分の保険料も契約者が支払っていることになります。
よって、医療保険に関しては、貯蓄性は不要です。保険は保険、貯蓄は貯蓄で分けて考えた方がいいでしょう。
『健康祝い金のある医療保険はお得?』
なお、給付金を受け取らなかった場合、支払った保険料が戻ってくる商品があります。東京海上日動あんしん生命の「メディカルKit R」などがあります。
一考の余地はありますが、貯蓄とは異なるリスクがある点は考慮しておく必要があります。リスクを理解したうえで、魅力を感じるようであれば、検討する余地はあるでしょう。
『健康なら保険料が返金される医療保険』
『持病があっても保険料が返金される医療保険』
9.おすすめの医療保険は?
全ての方におすすめできる医療保険を提示することはできません。人それぞれ望む保障も違います。
また、年代によって保険料が安い保険会社が異なる場合もありますので、全ての方におすすめできる医療保険を提示することは非常に難しいと考えます。
複数の保険会社を扱うFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談し、一番条件が良い保険会社の商品を紹介してもらうのが、一番効率的な方法だと思います。
『生命保険無料相談』
まとめ
医療保険を色々と比較する際には、まずどのような保障を望むのかを明確にしてから比較することをおすすめします。
どのような保障を準備するかで保険料は大きく変わります。
ご自身の望む保障内容を明確にし、その条件で一番おすすめの医療保険をプロに提示してもらう方法が一番効率的でしょう。
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