自動車保険で「記名被保険者」は補償の中心となる方で、非常に重要な項目です。
記名被保険者によって保険料が異なる場合もあり、記名被保険者を理解することは、自動車保険を節約することにもつながります。
自動車保険の記名被保険者を決める際の注意点や変更する場合の注意点について解説します。
1.記名被保険者とは?
記名被保険者とは、契約の車(契約車両)を主に使用する方のことです。自動車保険を契約する際に指定する必要があります。保険証券などに記載されることから「記名被保険者」といいます。
(セゾン自動車火災保険HPより抜粋)
上の証券の中の①が契約者、②が記名被保険者、③が車両所有者です。証券サンプルの通り、「契約者」、「記名被保険者」、「車両所有者」は証券の中に必ず記載してあります。
記名被保険者は、補償の対象となる範囲の基準となる大変重要な項目です。間違いのないように設定するようご注意ください。
例えば、対人賠償責任保険の補償範囲は下記のように決まっています。
2.記名被保険者の配偶者
3.記名被保険者または記名被保険者の配偶者の同居の親族
4.記名被保険者または記名被保険者の配偶者の別居の未婚の子
5.記名被保険者の承諾を得て契約自動車を使用または管理中の者
6.記名被保険者の使用者
なお、自動車保険には、「記名被保険者」の他に「被保険者」という言葉も出てきますが、「被保険者」とは、自動車保険の補償を受けられる方全般を指します。
2.記名被保険者と契約者の違い
自動車保険の証券には、「記名被保険者」以外にも「契約者」が記載してあります。
「記名被保険者」と「契約者」を混同している方がいますが、「契約者」とは、自動車保険の契約を保険会社と締結している当事者で保険料の支払義務や契約内容変更の通知義務がある方です。
「契約者」と「記名被保険者」は同じである必要はありません。
例えば、契約者は夫で、記名被保険者は妻という契約であれば、自動車保険契約は、夫が保険会社と締結し、保険料の支払義務は夫にあります。
一方、妻が契約車両を主に使用するということで、妻を「記名被保険者」に指定することが可能です。
『自動車保険の「契約者」「記名被保険者」「車両所有者」の違いとは?』
保険会社によっては、未成年者が保険契約者になれない場合があります。よって、契約者は親、未成年である子供が記名被保険者という契約をする必要があります。
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3.記名被保険者の保険料算出に関係する項目
自動車保険において「記名被保険者」は補償の中心になるとともに保険料算出においても重要となります。
自動車保険の保険料は、「記名被保険者」の年齢、免許の色、ノンフリート等級、住所などをもとに算出しています。
1)年齢
自動車保険の保険料は、記名被保険者年齢別料率が導入されているため、年齢条件だけでなく、「記名被保険者」の年齢も影響します。
『年齢条件が同じでも記名被保険者の年齢によって自動車保険の保険料は異なる?』
2)免許証の色
多くの方がご存知の「ゴールド免許割引」も記名被保険者の免許証の色がゴールドの場合に適用される割引です。
また、記名被保険者の免許の色による保険料区分を「ゴールド」と「ゴールド以外」の2区分としている保険会社と、「グリーン」「ブルー」「ゴールド」の3区分にしている保険会社があります。
『グリーン免許は自動車保険の保険料が高い?』
3)ノンフリート等級
また、多くの方が自動車保険の割引として認識している「ノンフリート等級」も記名被保険者に適用されます。契約者の方に等級が適用されると勘違いされている方もいますが、それは間違いです。
よって、次項で詳しく解説しますが、記名被保険者を変更する際には、等級が引き継げるのか、引き継げないのかが重要になります。
4.記名被保険者の変更
記名被保険者は保険期間の途中でも変更可能です。しかし、自動車保険の保険料を算出する際に非常に重要な項目ですので、変更する際には特に注意が必要です。
自動車保険の「契約者」を変更する場合には、保険料が変更になることはありませんが、記名被保険者を変更した場合には、保険料が変更になる場合がります。
特に記名被保険者を変更する方によっては、ノンフリート等級(割引)が引き継げない場合がありますので、注意が必要です。
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者の同居の親族
・配偶者の同居の親族
ノンフリート等級を引き継げない上記以外の方に記名被保険者を変更した場合、等級は原則、6等級になってしまいます。例えば、20等級(63%)割引の自動車保険の記名被保険者を等級の引き継げない方に変更した場合、63%の割引はなくなり、6等級の割増引になってしまいます。
よって、大きく割引率が下がることになります。
『自動車保険の等級(割引)を知人に譲ることができるか?』
まとめ
記名被保険者は、上記の通り、自動車保険の重要な項目です。
記名被保険者は、保険料の算出にも影響しますが、保険料が安くなるからといって、本来は契約車両を全く使用しない方を「記名被保険者」に指定すると、告知義務違反となり、契約が解除され、保険金が支払われない場合がありますので、ご注意ください。
記名被保険者の意味を理解するとともに、適切な方を「記名被保険者」として設定して頂ければと思います。
No.327