友人や知人など、他人名義の車を運転する際に事故を起こした場合、自動車保険で補償されるのか心配になることはないでしょうか?
ご自身の自動車保険や、運転する友人、知人の車の自動車保険の契約内容を確認しておかないと、事故の際に全く補償されないという事態になりかねません。自動車保険の補償が無ければ、大きな賠償金を自ら支払う必要があります。
今回は、友人、知人など、他人名義の車を運転する際に自動車保険契約のどのようなポイントに気を付ければよいかについて「ご自身や家族が自動車保険に加入している場合」と「ご自身や家族が自動車保険に加入していない場合」にわけて解説します。
他人の車を借りて運転することが多い方は参考にして頂ければと思います。
1.自分や家族が自動車保険に加入している場合
ご自身やご家族が自動車保険に加入している場合には、他人の車を運転して起こした事故は、自動車保険にセットされている他車運転特約で補償されます。よって、他人が契約する自動車保険の補償内容を気にする必要はありません。
他車運転特約の内容は下記の通りです。
・他車運転特約とは?
他車運転特約とは、他人から借りた車を運転中(駐車または停車中を除く)に事故を起こした場合、借りた車の保険に優先して、自分が契約している自動車保険から保険金を支払う特約です。
※「停車」には、信号待ちや踏切での列車待ちは含まれません。
保険会社によって特約名が異なる場合があり、「他車運転危険担保特約」や「他車運転危険補償特約」と呼ばれている場合もあります。
他車運転特約は、記名被保険者が個人の自動車保険に原則、自動的にセットされる特約です。
対人賠償・対物賠償、車両保険をセットしているなど一定の条件を満たせば、借りた車両自体の損害も他車運転特約で補償されます。
・家族が借りた車での事故も他車運転特約で補償される?
他車運転特約は記名被保険者(主に車を使用する方)だけではなく、配偶者や同居の親族等の記名被保険者の家族が借りた車で起こした事故についても補償されます。
補償の対象となる方は下記の通りです。
【他車運転特約の補償対象者の範囲】
・記名被保険者(主に車を使用する方)
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
・記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
例えば、父親の契約している自動車保険があり、その同居の子供が友人から借りた車で事故を起こした場合、父親の契約している自動車保険から優先して保険金を支払うことができます。
・運転者を限定している場合には注意が必要
他車運転特約は、同居の子供や別居の未婚の子まで補償の対象となりますが、運転者限定特約がセットされている場合には注意が必要です。
例えば、父親が契約している自動車保険に運転者限定特約の「本人・配偶者限定」がセットされていた場合、同居の子供や別居の未婚の子が他人から借りた車で起こした事故は、他車運転特約では補償されません。
上記父親が契約している自動車保険の他車運転特約で補償されるのは、記名被保険者である父親とその配偶者である母親だけということになるので、注意が必要です。
他車運転特約の詳細な内容については、下記記事をご参照ください。
『他車運転特約とは?|他人の車で事故をしても補償される?』
2.自分や家族が自動車保険に加入していない場合
ご自身やご家族が車を所有しておらず、自動車保険に加入していない場合には、他人名義の自動車保険の下記ポイントについて確認する必要があります。
・年齢条件
友人や知人など他人の車を運転する際に一番気になるのが、友人や知人が契約する自動車保険の年齢条件ではないでしょうか。
実は、他人の車を運転する際、他人名義の自動車保険の年齢条件については、確認する必要がありません。記名被保険者が個人である自動車保険で、年齢条件が適用される方の範囲は下記の通りです。
【年齢条件が適用される方の範囲】
①記名被保険者
②記名被保険者の配偶者
③記名被保険者又は配偶者の同居の親族
④①~③の業務に従事中の使用人
※④の方については年齢条件が適用されない保険会社もあります。
上記の通り、記名被保険者が個人の自動車保険で年齢条件が適用されるのは、原則、同居の家族等です。よって、友人や知人の車を運転する際には原則、他人名義の自動車保険の年齢条件を心配する必要はありません。つまり、①~④以外の方が運転中の事故については、設定されている年齢条件には関係なく補償されます。
しかし、法人が所有している自動車を運転する際には、注意が必要です。記名被保険者が法人である契約の自動車保険(ノンフリート契約)の場合、運転する全ての方に年齢条件が適用されます。
但し、フリート契約(所有・使用する自動車が10台以上の契約)の場合は年齢条件の設定はできないので、運転者の年齢を気にする必要はありません。
『自動車保険の年齢条件設定方法とは?確認すべきべき4つのポイント』
よって、法人所有の車を運転する際には、自動車保険の年齢条件が、ご自身の年齢が補償される条件に設定されているかを確認する必要があります。
・運転者限定特約
友人や知人等の他人の車を運転する場合、友人や知人が契約している自動車保険は補償される運転者が限定されていないか特に注意が必要です。
記名被保険者が個人である自動車保険の場合、補償対象の運転者を限定し、保険料を安くすることが可能です。
運転者限定特約には以下のような限定方法があります。
・本人限定
・本人・配偶者限定
・家族限定
補償対象の運転者が限定されている場合、限定された運転者以外の他人が運転して起こした事故は、補償の対象にはなりません。
『運転者を限定して保険料節約』
スポンサーリンク
3.1日単位の自動車保険
他人の車の自動車保険に運転者限定特約がセットされている場合などには、1日単位で加入できる自動車保険が活用できます。1日500円から自動車保険に加入できます。
1日単位で加入できる自動車保険は、本人若しくは配偶者以外が所有する自動車を運転する際に加入できる商品です。例えば、親や友人等の自動車を借りて運転する際に1日単位の自動車保険を活用できます。
また、他人の車を借りて運転する際に、自分では自動車保険には加入していない場合や事故の際に知人や友人の加入している自動車保険の使用を避けたい場合などにも1日単位の自動車保険は活用できます。
また、ドライバー保険とは違い、同居の親の所有する自動車を子供が運転する場合にも子供が加入して利用できます。
1日単位で加入できる自動車保険を販売している主な保険会社は以下の通りです。
・東京海上日動
「ちょいのり保険(1日自動車保険)」
・三井住友海上
「1DAY保険(24時間単位型自動車運転者保険)」
・あいおいニッセイ同和損保
「ワンデーサポーター(24時間単位型自動車運転者保険)」
1日単位の自動車保険の詳細は下記記事をご参照ください。
『1日単位で契約できる自動車保険』
4.ドライバー保険
他人の車を運転する際には、「ドライバー保険」も活用できます。ドライバー保険(正式名称:自動車運転者損害賠償責任保険)とは運転免許証は持っているが、自分で自動車を所有していない人のための自動車保険です。
1日単位の自動車保険と違い、ドライバー保険の保険期間は1年間です。また、自動車保険と同じように等級制度があり、「1~20等級の区分」、「無事故・事故有の区分」により保険料が割増引きされます。
1日単位の自動車保険と同じように自分では自動車保険には加入していない場合や事故の際に知人や友人の加入している自動車保険の使用を避けたい場合に活用できる商品です。
ドライバー保険の詳細については、下記記事をご参照ください。
『車を持っていなくても自動車保険に加入できる?』
5.他人の車で事故を起こした場合の自賠責保険(共済)
自賠責保険(共済)については、年齢条件や運転者限定特約はないので、契約者以外の方が運転した際に起こした事故でも補償されます。但し、自賠責保険の補償は、交通事故の被害者救済を目的とした最低限のもので、自賠責保険だけでは補償が不足する可能性があります。
よって、他人の車を運転する際には、自動車保険(任意保険)の加入状況について確認しておくことが重要です。
まとめ
友人や知人等の他人の車を運転する際には上記のようなポイントに注意し、事故の際に補償されないということがないようにして頂ければと思います。
他人名義の車を運転する場合に注意すべきポイントをまとめると、下記の通りです。
・自分や家族が自動車保険に加入している場合
ご自身やご家族が契約している自動車保険の他車運転特約で補償される。ただし、自動車保険に運転者限定特約がセットされている場合には、注意が必要。
・自分や家族が自動車保険に加入していない場合
年齢条件は、他人には適用されないので、原則、他人の車を運転する場合には他人名義の自動車保険の年齢条件を気にする必要はない。
運転する他人の車の自動車保険に運転者限定特約がセットされていないか、法人が記名被保険者の車の場合には、年齢条件にも注意が必要。
運転する他人の車に運転者が限定されている場合などは、1日単位の自動車保険やドライバー保険への加入を検討する。
最終更新日:2018年11月22日
No.286